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3次試験開始67時間経過。

「時計が半周したらこの試験も終わりですね」

はケータイを弄り、時間を確認した。
現在合格者は15名。
試験不合格決定者も逐一送り返しているので最終的には
合格者は20名前後といった所だろう。

「後は4次試験と最終試験合わせて2週間かかりませんね」
「そうだな。それ以上は各試験官を時間的に拘束
できんだろう」
「そうですね」

私もBPの去年の年間報告受けなくちゃだし、
カイトの所にも行きたいし、探し屋の仕事は早々には
とらないつもりでも結構忙しいかもしれない。

「さて、多数決チームはどうなることやら」

超巨大鉄球に追いかけられ全力疾走している彼等が
最後まで残りきるかどうかは私には分からない。







「すっごい悪趣味」

第一声はそれで決まりだ。
多数決の道、最終問題は長い道と短い道の選択。
長い道は45時間かかり、短い道は3分かかる。
残り時間は1時間ない彼らに選択の意味があるのだろうか?

「極限の精神状態で究極の質問。
これが多数決の道だ」

私は全部の道を観察した。
全て簡単な道ではなかったが、これはある意味
最もキツイ道だったのかもしれない。

「…先に行っておくぜ。俺は×を押す。
そして、ここに残される側になる気もねえ」

覚悟を決めたレオリオは部屋の中を眺め回した。
剣、槍、斧、あらゆる武器が鎮座し、
自分を使えと語りかけてくるような錯覚さえ覚える。

「俺は○を押すよ。やっぱり折角ここまで来たんだ
から5人で通過したい。イチかバチかの可能性でも
俺はそっちにかけたい」

ゴンは、一番難しい道を選ぶ。

「イチかバチかもくそもさ、残り時間は1時間もないんだぜ。
短い道を選ぶしかないよ。後はどうやって3人を決めるか。
勿論俺3人の中に入るつもりだし、誰も降りる気がないなら
戦うしかないね」
「そんなことはないよ!!」

ゴンはキルアの言い切りを真っ向から否定した。

「キルアの言うとおり、短い道をいくしかない。
だから5人で短い道を通ろうよ!!」
「はぁ?おまっゴン何言ってんのか分かってるのか!?」

キルアの言うとおりだとレオリオもクラピカもトンパも
同意の意味で頷いた。

「ほら、こんなに道具があるんだからさ。
騙さないから、皆も○を押して」

ゴンは一人で先に○ボタンを押した。

「…ま、ゴンに付き合ってやるか」

にも楽しめって言われたし。
キルアは呆れた口調に楽しそうな雰囲気を混ぜて○を押した。

「……そうか、そう言う意味か!」

数秒考えた後、ゴンの真意を悟ったクラピカは
同じく○を選ぶ。
これで、多数決上は長い道で決定した。

「本当に、間に合うんだろうな」

レオリオは納得しきれないまま、静かに○を押す。
最後にトンパも○ボタンに触れた。


「面白い子だな」
「でしょう?」

リッポーとは含みのある笑みを浮かべて
長い道と短い道を繋ぐ大穴制作を見守った。

ゴンの柔軟な発想力に小さく拍手をして。