35 3次試験開始67時間経過。 「時計が半周したらこの試験も終わりですね」 はケータイを弄り、時間を確認した。 現在合格者は15名。 試験不合格決定者も逐一送り返しているので最終的には 合格者は20名前後といった所だろう。 「後は4次試験と最終試験合わせて2週間かかりませんね」 「そうだな。それ以上は各試験官を時間的に拘束 できんだろう」 「そうですね」 私もBPの去年の年間報告受けなくちゃだし、 カイトの所にも行きたいし、探し屋の仕事は早々には とらないつもりでも結構忙しいかもしれない。 「さて、多数決チームはどうなることやら」 超巨大鉄球に追いかけられ全力疾走している彼等が 最後まで残りきるかどうかは私には分からない。 「すっごい悪趣味」 第一声はそれで決まりだ。 多数決の道、最終問題は長い道と短い道の選択。 長い道は45時間かかり、短い道は3分かかる。 残り時間は1時間ない彼らに選択の意味があるのだろうか? 「極限の精神状態で究極の質問。 これが多数決の道だ」 私は全部の道を観察した。 全て簡単な道ではなかったが、これはある意味 最もキツイ道だったのかもしれない。 「…先に行っておくぜ。俺は×を押す。 そして、ここに残される側になる気もねえ」 覚悟を決めたレオリオは部屋の中を眺め回した。 剣、槍、斧、あらゆる武器が鎮座し、 自分を使えと語りかけてくるような錯覚さえ覚える。 「俺は○を押すよ。やっぱり折角ここまで来たんだ から5人で通過したい。イチかバチかの可能性でも 俺はそっちにかけたい」 ゴンは、一番難しい道を選ぶ。 「イチかバチかもくそもさ、残り時間は1時間もないんだぜ。 短い道を選ぶしかないよ。後はどうやって3人を決めるか。 勿論俺3人の中に入るつもりだし、誰も降りる気がないなら 戦うしかないね」 「そんなことはないよ!!」 ゴンはキルアの言い切りを真っ向から否定した。 「キルアの言うとおり、短い道をいくしかない。 だから5人で短い道を通ろうよ!!」 「はぁ?おまっゴン何言ってんのか分かってるのか!?」 キルアの言うとおりだとレオリオもクラピカもトンパも 同意の意味で頷いた。 「ほら、こんなに道具があるんだからさ。 騙さないから、皆も○を押して」 ゴンは一人で先に○ボタンを押した。 「…ま、ゴンに付き合ってやるか」 にも楽しめって言われたし。 キルアは呆れた口調に楽しそうな雰囲気を混ぜて○を押した。 「……そうか、そう言う意味か!」 数秒考えた後、ゴンの真意を悟ったクラピカは 同じく○を選ぶ。 これで、多数決上は長い道で決定した。 「本当に、間に合うんだろうな」 レオリオは納得しきれないまま、静かに○を押す。 最後にトンパも○ボタンに触れた。 「面白い子だな」 「でしょう?」 リッポーとは含みのある笑みを浮かべて 長い道と短い道を繋ぐ大穴制作を見守った。 ゴンの柔軟な発想力に小さく拍手をして。