32 ゴゴゴ 「着たみたいだよギタちゃんvすぐ来るかと思ったけど、 意外と遅かったね◆」 「その呼び方気持ち悪いから止めて」 ヒソカ特有の粘り気のある口調は慣れない者には鳥肌モノだろう。 「陣中見舞いにゴハン持って来たけど、ヒソカいらないんだね」 ひょいとバスケットを見せ付けるように持ち上げると ヒソカはすぐに前言撤回をはかった。 「ゴメンゴメン。ずっと暇だったからさ」 「後2日は我慢しなさいよ。4次試験は上手くすれば楽しめるかもよ」 クツクツ笑うヒソカをみてため息を吐きながら バスケットを床に降ろし、黒髪の青年に焦点を合わせた。 「私の自己紹介はもいいいかな、ギタラクルさん?」 「うん。2次の終わりと親父からも何度か聞いてるし。 どうせ俺の素性調査でしょ?俺の本名はイルミ。 ゾルディック家の長男だよ」 「シルバさんの息子さんね。んでもってキルアのお兄さんか」 似てない。キルアとシルバさんは似てるけど、イルミさんと シルバさんは似てない。 母似なのだろうか。 「親父に"殺すには勿体無い"って思わせたには 一回会ってみたいとは思ってたけど、こんなところで 叶うとは思わなかったな」 イルミは感情のこもらない目でをじっと見た。 の中身を探るような視線だった。 ふいと視線を外してからもイルミには敵と見なした時 独特のオーラは欠片もなかった。 本当の闇に身を沈めたに親近感に似たものを 抱いたのかもしれない。 はそれに気づかないのか、それとも故意に無視している のかは定かでないがイルミの独白に唸りを上げていた。 「そんな事思ってた割には容赦ない攻撃だったけどねえ」 パンチ一発で崖崩れたし、かすっただけ でも骨ヒビ入ったし。 「ふーんもチャレンジャーだね」 「アンタだけには言われたくない」 本気で、切実に。 そして何も言わずにサンドイッチ食べ始めるな。 「ん〜やっぱりの手料理は絶品だね。 もしかして残り2日もが作ってくれるのかい?」 「別にいいよ。イルミさんはどうします?」 「持ってきて。ああ、変装してた理由はキルアにバレ たくないってのもあるから俺の事は言わないで。 それと敬語・さん付けいらない」 「わかった」 イルミの願いを聞き入れてフレンドリーな口調に変換する。 バスケットの中身が空になったのを見計らい、 はもと来た道に踵を返す。 「暇だからって人殺さないでね。 ゴハンとギブ&テイクだから」 「は心配性だなぁv」 「俺とヒソカ一緒くたにしないでくれる?」 了解の言葉は2人とも出さなかった。 それでも3次試験のゴールが血塗れにならないよう に出来たのはのこの一言だったことを記しておく。