ドリーム小説

25





キイィィ

がトレーニングルームの扉を開けると
……ゴンが大の字で寝ていた。

「……ネテロ会長、何してたんですか?」

状況把握ができないまま、はネテロにそう訪ねた。

「ホホホ、ちょいとゲームしとっただけじゃ。
中々ガッツのある子じゃのう」

ボールを人差し指のみで支えながらネテロはそう語る。

「ボールの奪い合いですか。
もう、次の試験のこと考えてあげて下さい」

は隅の常置してあった毛布をゴンに掛けた。
とても満足そうな顔して寝息を立てるゴンに、
は自然と笑みがこぼれた。

「このくらいの男の子は元気すぎるくらいが可愛いですよ」

天真爛漫なゴンを見ていると、故郷の下の義兄と……
ペットのゴン太を思い出す。
ホントは人と犬比べちゃ駄目だけどね、
愛嬌のある笑顔が犬っぽいのよ。

「そんな事言っとると嫉妬深い恋人が煩くなるぞい?」
「カイトは恋人、ゴンは友人もしくは弟分。
カテゴリーが違いますよ。内線借ります。
ちょっとくらい試験遅れてもいいですよね」

そう言いながらは内線でコックピットの番号を押した。

「うむ。そうしてくれ。して、何の用で来たんじゃ?
ハンター試験中に念を使うのは余りいただけないんじゃが」

ゆっくり飛ぶように伝え、受話器を下ろすとはムッと眉をひそめた。

「その念頼りに私を監視役にした人に言われたくないですね。
3次試験から私はどうするべきか聞きに来たんです」
「3次と4次試験はリッポーが試験官じゃ。
は3次試験は奴の側にいればよい。
4次試験はリッポーから聞いた方がいいじゃろ。
それはそうとのゲームしてみんか?
久々に体が疼いてしまってのう」

ポーンとボールを高くあげ、同時に垂直に飛び上がった。

「お相手させてもらいますよ、ネテロ会長」
「お手柔らかに頼むぞい」

手加減なんかする必要はない。

ボールのキャッチングなら誰にも負けるつもりはない!!






『皆様、大変お待たせいたしました。目的地に到着です』

スピーカーからアナウンスの声が漏れた。

「タイムリミットですね」

結局熱中しすぎて寝なかった。

「2勝2敗1引き分けじゃの。まったく俊敏力と
ボール感覚はわしより上じゃわい」
「球を追いかけるなら会長よりも経験上なんです」
「ふむ、野球チームのオーナーの鏡じゃの」

野球が大好きなにとって、これ以上の誉れはない。

「今年も優勝狙うので応援よろしくお願いします」
「楽しみにするとしよう。わしは先に暇するぞい」

そう言ってネテロは去り、は汗に濡れた髪を掻き揚げ、
まだ寝ているゴンを揺すった。

「ゴン、ゴン。目的地に着いたから起きなさい」
「ふにゃぁ?」

ふにゃぁ…って、変な擬音だけど可愛いな。

「あれ?だ…おはよ」
「おはよう。3次試験の試験会場到着よ」
「っえ?もう!?それじゃのごはんは?!」

がばっと起き上がってゴンは真っ先にそう聞いた。
食い気が先なんだ…。

「もう昨日のうちに作って、タッパにいれたから持っていきなよ。
3人の分も一緒にね。ほら降りる準備しなさい」
「はーい……なんかがミトさんみたいだ」
「ミトさん?」
「俺のおばさんで、育ての母親」

ふーん、ジンさんの従兄弟ってことか……ちょっと待った、
つまり実年齢より年増に見えるってこと?
18で母親…いない訳じゃないけどなんかショックだ。

「ミトさんもも一緒にいると心が温ったかいんだ」


にっこり笑うゴン。

……こんな可愛い子のお母さんならいいか。

ショックを受けたのは忘れることにして、は
ゴンのツンツンした頭を撫でてトレーニングルームを出て行った。

追記:思っていたほどゴンの髪は硬くなかったです。