24 試験官用に用意された部屋はシティーホテル並みの設備は整って、 不自由はまったく感じなかった。 は湿原を走って汚れた体を清めるため、シャワーを浴びた。 暖かいお湯が疲れも一緒に流してくれている気がした。 シャワーを終えて髪を拭いていると、ケータイの着信音が耳に届いた。 ♪〜♪〜 着信音を変えてあるから名前を聞かなくても分かる電話口の相手。 「はいカイト」 『おう。どうだった2回目の試験は?』 「私の時よりずっとちゃんとしてた。 ゴンに会って仲良くなったよ。 本当にジンさんそっくりね。ビックリしちゃった」 ポスンとベットに腰を下ろして枕を抱きかかえた。 落ち着く。 そしてほんの少し、電話を切ってカイトの所に行きたくなった。 『だろ。こっちは面白い獣見つけた。火を使う虎だな』 「幻獣じゃなくて?そういう例は聞いたことないけど」 幻獣は私の生まれ育った世界にはいない人間並の知恵を持つ動物の総称。 試験前にあったキリコの様に人との交流に好意的な種もあれば 徹底的にそれを拒み、時には戦闘を辞さない種もある。 どんな経緯で幻獣が発生し、ヒトの言葉を操るようになったのかは 多くの学者の研究のテーマになっているが、決定的な答えは未だに 発表されていない。 『ハイラみたいに額に鋭い角があって、出し入れ自由みたいだった。 これが今回の仕事の一番の発見になるかもな』 カキン国奥地での生物探索が今カイトが取り組んでいる仕事。 人里離れていても、アニラかシンダラがいれば問題ないから 互いに自由に仕事を選べるので付き合って3年近く経っても いい感じに関係を保っている。 「後1年ちょいだよね。試験終わったらそっちに行くよ」 『その時調味料持ってきてくれ。そろそろ塩が切れそうだ』 「試験あと半月はあると思うけど、早めにいけるようにする。 そろそろ寝るね。皆にもよろしく」 『はいよ。お休み、』 「お休みなさい」 ピッと音が鳴り、通話が切れる。 今度は、少し寂しくなった。 もうすぐ成人の女が幼い子供みたいだと恥ずかしくなって このまま寝てしまおうかと思ったのだが。 「あ、そういえば私って3次試験からどうすればいいの?」 そう疑問に思ってはベットから起き上がり、ネテロを探すことにした。 "円" 空気に紛れるようにオーラを飛行船全体に広げた。 達人で半径50m。 しかし、ならばもう1桁増やして広げることが可能である。 非凡なオーラ量のおかげだ。 「トレーニングルームか、ゴンも一緒みたいね」 あーらら、ゴンのオーラ疲れ切ってるじゃない。 相変わらず大人気ない…。![]()