ハンター試験





ジリリリリリリリ


目覚まし時計の金切り声が部屋に充満する。


「ん〜」

は音の方に手を伸ばすが、昨日のはそれを予想して
もっと遠くに時計を置いた。


「うるさいの〜」


ムクリと白いシーツから起きあがっては時計を止めた。

時計はけたたましい音を沈めて部屋は沈黙する。


「朝か」


この世界に来てから約1年。

最初は運び屋だったのが、今は探し屋へと変化した。

仕事をどんどん受けてたら思ったよりもお金は貯まったが、
それでも私は最初に使い出した家を使用している。

理由は別にここが気に入っているってだけだけど。


「今年のハンター試験はヨークシンか。ちょっと前にオークションが
会った場所ね。もう行った場所で良かったよ」


朝ご飯を食べて寝間着から普段着へと着替える。


白いハイネックのノースリーブ。

裾が長くてスリットが入っているのがお気に入り。

私の元の世界のアオザイに似ている

それに長い指穴の空いた手袋を着けて黒のズボン。

これが私の仕事服。

動きの制限もないし、略式程度の公式の場でも使えるのが楽だ。



そして革製のべルトポーチを身につけた。

そのポーチから収納していた薙刀を出す。

折りたたみ式なのに強度・性能共に文句なしの一品。

そして、私の念能力発動の条件になる。


シャキンッ


薙刀を元のカタチに戻して、スッと空間を斬った。


「額爾羅〈アニラ〉出てきて」


薙刀で斬った空間に歪みが生じた。

それはまるでカッターで切った紙を裂くようだ。


【主、何用か?】


その歪みが消えたと思うと金色の髪と金の装飾に身を包んだ青年が出てきた。

彼がアニラ。

と契約した金色の竜が人型をとったものだ。


「ヨークシンに行きたいの。繋いで」

【承知した】


シャラン


アニラの金色のプレスレットが音をたてる。


そしてとアニラはその空間から消え去った。


部屋は人のいない静けさに支配されるだけ。