04

「新人選手関係、年間スケジュール、上期予算配分はこれ
でOK。各部署に回してきて。
ビュッフェルの経過はどう?」

積み上げた紙の山、一枚一枚にサインを書いていく。
それと平行作業でボドー、レイファン、サレンドスの幹部
達に口頭で仕事を片付ける。

「故障したのは足ですし、今シーズンは出場できないと医
師から報告がきています。診断書見ますか?」
「お願い。それと監督やトレーナーとも話し合いたいから
関係者を明日の14時に第二会議室集合させて」
「はい」

レイファンは一礼しての仕事部屋から出て行く。

「オーナー追加書類お願いします!」

レイファンと入れ替わりに今度は違う職員が次の紙の束を
抱えて部屋に入った。

「仕分けはしてあるの?」
「赤付箋より上はサインのみ。緑付箋から上は他球団から
引き抜きの声がかかってる選手関連、青付箋から上はオー
ナーへのパーティーやらのお誘いです」
「青付箋のはどうしても出席しなくてはいけないものだけ
選別して。
代理で済むもの、いかなくていいものはドルタルフの方へ
回してきて」
「はい!」
「ボドー、どれくらい処理し終わった?」
「書類関係はようやく半分です。45分後には移動します
から残り15分で片付けて下さい」
「リョーカイ。明日には全部終らせるからじゃんじゃん持
ってきて」


24時間後。

最後のサイン欄に名前を書き込んで愛用の万年筆を机に叩
きつけた。

「終了〜!!!」
「お疲れ様でした。これでしばらくはオーナーなしでもこ
っちで動かせますよ」

ボドーが熱い紅茶を置き、はソーサーを持ち上げた。

「仕事の溜め込みなんてするもんじゃないわね。
目が乾いてシパシパする」
「目薬持ってきますか?」
「うーん、お願い」

ボドーはさっと動いて引き出しから目薬を取り出した。
にそれを渡し、両目に数滴の雫を垂らす。

「で、今度はどこへ?」
「パドキア共和国でゾルディック家訪問。
ちょっと喧嘩売ってくるよ」

が瞼を何回も開閉している横で、ボドーはスーツの襟
をずるっと落としていた。

「それは、大物すぎませんか」

ボドーはゾルディック=暗殺一家の知識を持つくらいには
闇の知識を持っている。
というか、に関わってから持たざる得なくなった。
だからこそ、その名の持つ力の大きさを知りながら、
を何が何でも止めることはしない。
その行為が無駄であるし、心配するほどが弱くないこ
とと、無駄な行動をゾルディック側がしないことを知って
いるからだ。

「行くことは決定事項よ。
目をかけてる新人が3人ほど先に向かってるの。
門前で数週間から数ヶ月は確実に足止めされるからこっち
の仕事優先したんだけどね」
「ああ、黄泉の門ですね。時間をかけたとしてもあそこを
通ることがプロになったばかりで出来るものですか?」
「できなきゃゾルディックに立ち向かう準備が出来てない
んだからいいの。
一応、シルバさんの説得は私がするけど、キルア…新人3
人が迎えに行った子だけど、その子がどこまで他人を信用
できるようになるかどうかは、私の受け持ちじゃないしね」

キルアに意志を決定させるのはゴンとクラピカとレオリオ
の受け持ちだ。
決定した道を手助けし、その為の準備をするのが私の受け
持ちだ。

「時々、心底心配になりますよ。
貴方はいつか、お節介で大きな失敗をするんじゃないかと」
「もう何回かしてるよ。
でもやめらんないのよね、お節介って」

だって、私がここで生きてるのも、私が私でいられるのも、
他人のお節介のお陰なんだもの。