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暁の光が一輪挿しの花を光らせる。
花びらについた朝露が、涙に見えた。


最終試験会場のホールに試験官と受験者全員が集った。

開始時刻を秒針が過ぎたところでネテロが数歩前に出て
受験者に話しかけた。

「さて諸君、ゆっくり休めたかな?
最終試験は1対1のトーナメント形式で行う。
その組合わせは、こうじゃ」

中央に置かれたボードから布を剥ぐ。
ボードに書かれたトーナメントの組み立てはどう見ても不平等だった。

294のハンゾー、405のゴンは5回。
404のクラピカと44のヒソカ、53のポックルが4回。
99のキルアと191のボドロが3回。
301のギタラクル(イルミ)と403のレオリオが2回。
普通に見ればハンゾーやゴンが不利に見える。

しかしここがネテロ会長の意地悪その1だ。
受験生のオーラが不穏に揺れ動く。
その動きを大きくするかのようにネテロは説明を続けた。

「さて最終試験のクリア条件だがいたって明確」

ネテロは左手の人差し指を持ち上げた。

「たった1勝で合格である!!

つまりこのトーナメントは勝った者が次々抜けていき、
負けたものが上に登って行くシステム!」

そして、トーナメントの頂点は不合格者の席。

「この組み合わせは今まで行われた試験の成績をもとに
決められている。簡単に言えば成績のいい者にチャンスが
多く与えられているということ」

そこでキルアの眉がピクリと動いた。


「それって納得できないな。もっと詳しく点数の付け方
とか教えてよ」
「駄目じゃ」

即刻却下。

「なんでだよ!!」

「採点内容は極秘事項でな、全てを言うわけにはいかん。
まあやり方は教えてやろう。観察方」
「はい」

はすっとネテロの右側に立った。

「4次試験終了後に身体能力、洞察力、精神力、
総合能力を今までの試験で試されたと話しましたね?
それらを大雑把に分けて身体能力値と精神能力値に
分けて審査しました」
「身体能力値はそのまま体の能力。
精神能力値は洞察力と精神力、総合能力ってトコロかな?」

は口を挟んだヒソカに身体の向きを回した。

「正解よ。そしてその2つともう一つ、そして最も重要視
される印象値が加わるわ。
貴方の場合、これが一番足を引きずったわね」
「僕ほど印象に残る人間はそうそういないと思うけど?」
「それはまったく同感だけど、簡単に言えば個々の受験生の
ハンターとしての資質を私達が独断と偏見で優劣した結果
って思ってくれていいわ。
たった数週間で全部が計れるほど貴方達は
奥の浅い人間ではないから。
以上、審査概略を終えます」

はそう言って元いた位置に立った。


「あーらら、あのツンツン坊やピリピリしちゃってるわね」
「いいじゃないですか。ちょっと位嫉妬
した方がやる気がでるでしょ」

基本的にキルアは同年代と関わったことがないだろうからね。
ゴンが自分より上なのは気に入らないでしょ。


「戦い方も単純明快。武器OK。反則なし。
相手に「まいった」と言わせれば勝ち!
相手を死にいたらしめてしまった者は即失格!
その時点で残りの者が合格。
試験は終了じゃよいな。
それでは最終試験を開始する!!」


「第一試合ハンゾー対ゴン!!」


試合、開始。