42 ゴウンゴウン 飛行船は目的地のホテルに到着し、体を地に着けた。 ぞろぞろと飛行船に乗っていた人達が降りてくる。 会長とマーメンはホテルへの手続きがあるらしく、 受験者の世話はまたへと委ねられた。 「受験者の皆様大変お待たせしました。 最終試験は明日の10時より当ホテルの大ホールにて行います。 部屋は従業員の方が個々に案内してくれるそうです。 何か聞きたいことありますか?」 数点の質問に返答し、個々に案内人に付き従って 部屋を目指す。 その中でまた探検しようとはしゃぐゴンとキルアを 見て……目を瞠った。 「……ゴン、怪我治るの早すぎない?」 ヘビに噛まれた跡が全然目立たない。 擦り傷も腫れも大体完治している。 ジンさんは怪我した所みたことないけど、 同じくらい治癒能力高いのか? これは野生動物並みの自然治癒能力の高さだぞ? 「そんなに変?」 「変だよ変!鼻や視力だけじゃなくて治癒能力 まで動物みたいだ」 キルアが話に乗り込んできてゴンのほっぺたをつつく。 それにむっとしてゴンはキルアの手を掴んだ。 「それ言ったらキルアだって爪の長さ変えられるなんて 猫みたいじゃん」 「あれは特訓したんだよ。だから変じゃねーの」 この子達は、変と言うだけなんだ。 異常に優れた五感。 一般的には操れる筈のない体のコントロール。 普通なら変ですまされない。 バケモノ………人間じゃない……そんな言葉の刃 が降り注がれる筈なのに。 は微笑ましいやりとりに母のような優しい顔をした。 どうせ数年は付き合いが続くのだろうし、 出来うる限りの助力はしよう。 まだ幼いこの子達が、本当の意味で強くなるように。 本当の、仲間となれるように。 っと、後もう1つ片付けなくちゃいけないのがあったんだ。 「さん。私達も行きましょう」 「あ、はーい」 サトツに呼ばれ、体を反転させる。 は自然にクラピカの前を横切り、彼に紙切れを渡した。 『夕飯前までに***室』 後ろからクシャリと紙が擦れる音がした。![]()