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「やっぱり注目はヒソカに偏ってますね」

面談終了後、盗み聞きしていた面談内容をまとめてみた率直な感想。

ヒソカには8人中6人が戦いたくないか注目しているか
で答えられている。

そりゃまああんなクレイジーいたら嫌でも目立つからね。
強さもイルミを抜いて残り受験者全員VSヒソカでやって
もヒソカ勝つんじゃないかな。
絶対やらせないけど。のお気に入り達も結構イイ感じよね」
「ゴンもキルアも10代前半です。それでここまで
くれば必然ですね」

「うーんでもあの2人はまだプロになるには早くない?」

ブハラが残りの食べ物を皿まで舐めきってから言った。

「勿論、彼らは年齢云々で言えば体力的強さにも
精神的強さにしても11歳は幼いですよ。
怖いもの知らずが無謀にも勇気にもいくらでも変わります。
ある意味、彼らのこれからを思えば最終試験に落ちて
みるのも一興でしょう」

はデザートのチョコレートシフォンケーキにフォークを
刺して、口に含んだ。
口に優しい丁度イイ甘さがの頬を緩ませる。

「それでも、自分の行く末を考えるのに早すぎるという
ことはないでしょう。
プロハンターというものも所詮は肩書き。
何もしなければ特に必要もなく朽ちるだけ。
何かをなすには強い武器になる。
何かをなす為にライセンスを求めるならば、
彼らでもこれを受け取る資格があります」

食後のブラックコーヒーを用意すべく豆を挽くサトツは
大人らしく他とは違う意見を丁寧に述べる。

は自分のライセンスを手に持ち、じっと眺めた。
長方形のカード。

最高峰の技術が詰まった、私の武器のひとつ。

「私がこれを手に入れたのは15の年。
一般世間から見れば私とて早い年でした。
もし、私がこれを手に入れなければ成す事ができなかった
事柄も沢山あります」

ゴンはジンさんを見つけるためにプロハンターになる
必要があるのは確実だ。

クラピカは旅団を捕らえるのには心強いだろう。

レオリオはまだ目的をよく知らないが、あの必死さから
思えば手に入れるのは過分でない。

キルアは……自分の世界を広げる為に必要かもしれない。

「それでは何を言いたいんだい?
君がどれだけ偉業を果たしても今の試験には
関係性が見られないが」

リッポーはそう言ってからトマトジュースを飲む。

「そりゃそうです。残念というかなんというか、悟りを
開けるほど私年食ってませんし、将来有望株が潰れない
よう気をつければ問題なしですよね」

「しかし、何故さんは彼らにそれほど目をかけている
のかまだ納得し切れないですね」

サトツからコーヒーを受け取り、礼を言ってから
ミルクを入れる。

「性格とかが気に入ってると言ってしまえばそれまでですけど」

ゴンの父親に念やら一般常識やらしごかれたり、
キルアの父親と命の取り合いしたり、
クラピカの一族の瞳を仕事で取り扱った経歴があって
良心が痛んでたり……何もないのレオリオだけだ。

あの男は根が単純でオーラもそれをよく表わしているが、
その単純さと感情の全うさが好ましい。



「おい皆見てみィ。組み合わせができたぞえ」


ネテロの呼びかけで思考の糸が断ち切れ、
ブハラが持っている大きな板を覗いて見る。




「会長……これ本気ですか?」

顔を青くしてブハラが問う。
ネテロは奇妙な笑い声で答えた。


「大マジじゃ」



【あの老木は全部分かっとって実行しおる。
主殿、努々気を許すことは致しませんように】


過去、摩虎羅に言われた言葉を反芻した。

確かに、この雰囲気に流されて気を許してはいけない人だ。