40 「9人中6人が新人か。ほっほっほ豊作豊作」 好々爺な笑い声を上げてネテロは言う。 メンチ作の料理は生きてて良かったと思えるほど美味しい。 「たまにあるんですか?こんなことって」 「大概10年くらい一人も新人が出ない前触れがあるん じゃが、の年でちょいと崩されておったからの。 少し意外ではあったんじゃ」 「あれは本気で例外にして下さい」 私とシャルじゃ例外視しても誰も文句は言わない。 「豊作の年はわしが会長になってこれが4度目かのー」 40年もハンターの頂点してたのかこの人。 流石、摩虎羅も認める意地悪狸…。 「ところで最終試験は一体何をするのでしょう?」 「そうですよ。受験者は筆記試験じゃないだろうかと 心配してましたよ」 「あーそりゃないない。そんなメンドイじゃん」 メンチも勉強は得意でないのか苦いものを噛み潰した 顔で手をぶらぶらと振った。 「ですよね、で、どうします?」 「実は一風変わった決闘をしてもらうつもりじゃが、 そのための準備としてまず9人それぞれと話がしたいのぉ」 「どーゆーことだろ?」 メンチが隣にいるマーメンとに小声で話を振る。 「さあ、会長の考えは私にゃさっぱり」 「面接ってことは個人的意見も入れるってことでしょ。 そしてどごっと奈落に突き落とすと」 「お主わしをどーいうジジイだと思っとるんじゃ」 「気のいいおじいちゃんに見えて実は意地の悪い年齢不詳翁」 「わしにそこまで言う小娘もくらいなもんじゃぞ」 「私の事をギリギリまでこき使ったのはジンさんと ネテロ会長くらいなもんですよ」 両者一歩も引かない姿勢。 「と会長って仲悪いの? あっがオーラ投げた会長避けた」 「あれは仲が悪いというより孫をからかう祖父 といった心境ではないでしょうか。 おやさん上手く投げ返しますね流石です」 「会長とじゃ孫以上に年齢差あるんじゃないかな。 あれ?避けた念戻ってきた。って放出系?」 「20年くらい前から自称約100歳ですから。 あ、会長の頭に当たった」 外野陣は地味だが高度な念攻防を観戦。 ネテロの優勢かと思いきやが使い捨ての球を リサイクルしてヒットさせる。 「おっしゃ!」 「小技ばかり上達しおって。年寄りは労わらんかい」 「労わって欲しいならそれなりに衰えて下さい」 「やっぱ仲はいいのね」 「どっちも楽しんでますからね」 「受験生の面接セッティングしなくていいの?」 「ああそうでした。では私はアナウンス流してきますので 会長には隣の第一応接室で待つように言って下さい」 ブハラに気づかされてマーメンが席を立った。 「大体16.7の小娘に関連研究所から配布、販売 ラインまでの全権を任すなんて非常識を3乗しても まだ足らないくらいですよ」 「YEV【ヨルビアン脳炎ウイルスの略。ヘンパル脳炎の原因 となるウイルス】の変質原因とワクチンの可能性までの追求 の速度の正確さに合わせて国家権力や大企業に喧嘩売る命知 らずな度胸を見込んでの判断じゃ。 実際成功したんじゃから一々文句言うでない」 「ってプロハンターになって何年だっけ?」 念が使えない者が見ればただの口論。 念能力者が見れば小細工裏の手上等の喧嘩。 メンチは自分であげた豚肉のから揚げを口に放り込んだ。 「15歳で合格したと言っていましたよ」 サトツはキュウリのスティックをポリポリ 齧ってからメンチの独白に答える。 「ハンター歴1年かそこらでそんな重大責任 押し付けられたら怒るよね」 ブハラはの小出しの怒りに少々納得しながら あらゆる食材を食べあさる。 「少なくとも"まあいいか"じゃ、すまないでしょう」 「だよねーあら紅茶終っちゃったの。 淹れてくるけどセイロンでいい?」 納得しても止めはしない。 何故ならとばっちりは嫌いだから。 ネテロとのオーラをフルに使った戦いは 面談開始2分前まで続けられた。![]()