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マフタツ山に向う飛行船内。

窓で一人景色を眺めていたにネテロが近づいてきた。

「ご苦労じゃったな」

「ええ本当に。観察方の仕事は想像以上に疲れます。
しかも今回急にですからね」

ネテロを軽く責める言い分を口にしてても本当には許していると
すぐに分かるのでネテロは笑い声をあげる。

「ほっほっほ。なーに、急でも出来ると信頼の元に成り立つ行為じゃな」

好々爺を自前でいくこのネテロに何言っても聞いてくれないと悟り、
文句を言うのは諦めて話題を変える。

「マフタツ山だったら何人も川に落ちると思うんですけど、
私が救助ですか?」

「いや、マーメンが先に行って網を張るじゃろうよ」

秘書のマーメンの働きぶりを予測してネテロは髭をいじくり
笑い声を上げる。

「到着した様ですね。降りますか」

飛行船はゆっくりと地面に足を着ける。







「一体……下はどうなっているんだ?」

受験生は一箇所に集められ、真っ二つに割れた崖を恐る恐る覗く。
それは下が見えず、一体なぜこの場所でゆで卵なのだろうと首を傾げる。

「安心して。下は深―い河よ。落ちたら数十km先の
海までノンストップだけど」

それって安心どころか不安増大では?

は心中でツッコミをいれているとメンチは
ハイヒールの靴を脱ぎ捨てる。
それを地面に置きざりにし、崖の先に立って。


「それじゃお先に」


トンと音をたてて、飛び降りた。

ああ、昔の自分を思い出す。


「「「「「「「え――――!!!???」」」」」」」」

ヒュウウゥゥゥ
風を切って真ッ逆さまに落ちていくメンチは、 普通に見れば自殺にしかみえない。 「マフタツ山に生息するクモワシ。その卵をとりにいったのじゃよ」 ネテロはそれに驚きもせずに説明を受験者達にする。 「クモワシは陸の獣から卵を守るために谷の間に 丈夫ば糸を張り、卵を吊るしておく」 ブドウのように釣り下がるクモワシの卵がメンチの側に近づいてきた。 その糸に掴まり、卵を胸元にしまって崖を根気よく登る。 「よっと、この卵でゆで卵を作るのよ」 何事もなかったかのようにメンチは崖から顔をだして 受験者にとってきた卵を見せる。 それは普通の神経を持つものには奇怪なものである。 というよりか、それが当たり前だ。 「アー良かった」 「こーゆーのを待ってたんだよね」 「走るのやら民族料理よりよっぽど早くて分かりやすいぜ」 その後にゴンとキルア、レオリオにクラピカが続く。 「ってな訳だから行きますか」 はそれに続き、崖の前に行く。 「では、お先に失礼」 そう言って5人は勢いよく崖から飛び降りた。 それに何人もの受験者が続いて落ちていく。 ヒュウウウゥゥ メンチと同じく風を切ってクモワシの巣に近づく受験者達。 はストッと平均台のように糸の上に乗った。 「ねー。この卵って1個しか持ってっちゃ駄目なのかな?」 ゴンは足を糸に引っ掛けてコウモリのごとく逆さになって卵を見る。 「あんまり取りすぎるとクモワシに悪いよ?」 私は無性卵しかとってないけど。 「そっか〜残念だな。さっきが作ったご飯マネしたかったのに」 仕方がないかとゴンは卵を1個拝借して岩壁に手をかけた。 私の料理が気に入ってもらえたのは嬉しい限りだ。 「暇があったら作ってあげるよ」 「ホント?やったぁ!!」 「あ〜ゴン、ズリィ。俺にもな!」 キルアは対抗心を燃やしてに自分の分もと頼み込む。 「うんいいよ」 「「やったね!!」」 の快い返事に素直に喜ぶ姿はとても子供らしかった。 第二次試験後半再試験合格者43名。