19ドゴオォォン
会場にものが壊れる音が響く。255番がキッチンを壊したのだ。 「とても ハイそうですかと帰る気にはなれねぇな。 俺が目指してるのはコックでもグルメでもねぇ!! ハンターだ!!しかも賞金首ハンター志望だぜ!!美食ハンター ごときに合否を決められたくねーな!!合格1人だと!? そんなの認められねーよ!!」 彼の言い分はこの受験者ほとんどの意見と同じだろう。 これで諦められるほど、薄い心意気で来ている訳がない。 「それは残念だったわね。今回は試験官運がなかったってことよ。 また来年頑張れば?」 ……メンチさん、自分から喧嘩売ってるよ。 これでは彼の怒りは膨らんで爆発するしかないではないか。 「こ…ふざけんじゃねぇ―――!!!!」 拳をメンチへと振りかざす、が。 ストンッと彼の後ろ首に手刀を1つ落とされる。 255番はシロ目を向いて前のめりに倒れていった。 「焦るんじゃない」 は呆れた声色で倒れた255番に言った。 聞こえていないだろうが止めてやっただけ感謝してくれ。 「余計なマネしないでよ」 「だってこの人突っ込んでいったら、メンチさん間違いなく 殺しちゃうでしょ? 私、人が死ぬを見るの嫌いなんです」 ソファーの後ろに隠された包丁が怪しい光を帯びてるのよ。 八つ当たりで殺されたら可哀想すぎてしょうがない。 「まーね。自分の職業馬鹿にされて黙ってるほど カワイー性格してないわよ。 賞金首ハンター?笑わせるわ! どのハンターを目指すとか関係ないのよ。 ハンターたる者誰だって武術の心得があって当然!! 武芸なんてハンターやってたらいやでも見につくのよ。 あたしが知りたいのは未知のものに挑戦する気概なのよ!!」≪それにしても、合格者1はちとキビシすぎやせんか?≫
突然上空から年老いた枯れた声が降って、その声に導かれて全員が外に出る。 やれやれ、やっと来たか。 「あ、あれはハンター協会のマーク!!」「審査委員会か!!」 魚雷のファンキーな飛行船が会場の上で止まり、何かが落ちてくる。 派手な登場が好きな食えないヒヒ爺・ネテロ会長。ドオォォォン
落下場所にはクレーターが出来る。落ちてきた本人は全く平気そうだ。 「何者だこのじーさん」「てゆーか骨は?今ので足の骨は?!」 常人には理解しがたい人物なんだよ。 あんまり気にしないのが精神安定には確実にきっとつながるさ。 「審査委員会のネテロ会長、ハンター試験の最高責任者だよ」 は周りの疑問に答えるように落ちてきた老人の正体を明かす。 「「「「「!!」」」」」 その間にネテロはメンチへと近づいていく。 「ま、責任者といっても所詮裏方。こんな時のトラブル処理係 見たいなもんじゃ。メンチくん。それに」 「はい!!」「はい」 「すげーあのメンチが緊張しまくってるぜ」「何で1番まで呼ばれるんだ?」 ネテロは周りに気を払うことなく、事務的な質問をする。 「未知のものに挑戦する気概を彼等に問うた結果、1番以外の 全員その態度に問題あり、つまり不合格と思ったわけかね?」 「……いえ。テスト生料理を軽んじる発言にカッとなり、その際の トラブルが重なり、頭に血が昇っているうちにお腹一杯にですね…」 しどろもどろにいい訳をするが、やはり自分の方が悪いと明らかになる。 「ふむふむ。つまり自分でも審査不十分だと分かっているわけだな?」 「……ハイ」 「はどうじゃ?」 会話の方向がへと移る。 「私は、再試験が適切だと思います。ここでメンチさんに試験官を 降りられても次に審査する人間がいませんから」 それを予期していたので臆することなく返答する。 「では、どのような形が再試験に適していると?」 再びの質問。これには多少頭を抱える。 「そうですね。新しい課題を出し、それをメンチさん自身に実演して 貰うのが最適ではないでしょか?」 「よし、それ採用じゃ!!その方がテスト生も合否に納得が行くじゃろう。 その際はお主も再テストじゃが、いいかな?」 「かまいません。メンチさん、課題はどうします?」 「そうね、じゃぁ、ゆで卵」 スシから随分簡単なメニューに、受験生は唖然とする。 「会長、私達をあの山まで連れていってくれませんか?」 指し示す方向には先ほどが行ったマフタツ山。 課題の趣旨を理解したネテロは快く飛行船に受験生を乗せた。