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「ただいま」


「あ、遅かったね」


ゴンは奇妙な魚をまな板に載せて、包丁を握っている。


「俺達はヒント早く貰ったから早かっただけだろ。

他の奴等はレオリオがバラして皆魚取りに行っちゃったからな」


キルアは魚…うなぎのようなものをご飯に挟んでいる。

形までは分からないらしい。


「私も後は調理するだけだよ」


は捕って来た材料を手早く調理し始めた。


そのうちに魚を捕かまえてきた受験生で厨房は溢れかえる。

……スシと呼べる形をしたものはまだ作られていない。




「くっく俺よりよっぽど性格悪いなメンチ。

今のスシダネってのはほとんどが海水魚なんだろ?

見ろよあの材料じゃまともなスシなんて出来っこないぜ」

「だから面白いんじゃない、普通のスシダネなんてもう食いつくし
てんのよ。どんなキワモノが出て来るのか楽しみだわ。

今日は試験官というより料理人として来てるからね」


舌なめずりするメンチにブハラ悪い予感がよぎった。

料理人としてね……メンチの悪い癖が出なきゃいいけど。

ブハラの言う悪い癖は、いかんなく発揮された。




「出来たぜ!!俺が完成第一号だ!!

名付けてレオリオスペシャル!さあ食ってくれ!!」


皿の中をみると、生き作りの魚がご飯に埋もれていた。



「食えるかぁ!!」


メンチはやっと食べられると思ったのに期待はずれで皿を投げ捨てる。


「て、てめぇ!!何も放ることねーだろ!!コラァ!!」

「何?失格にするよ?ほれさっさともどりな」


メンチは軽くレオリオを蹴散らす。


「くそ〜自信作だったのに」


せめて魚捌いてからその言葉を使うべきだ。


「よーし次は俺だ」


次の挑戦者はゴン。

これも同じく生き作りの魚がご飯で躍っていた。

こちらの方が、まだ見た目はいいかもしれないが……。


「403番とレベルがいっしょ!!駄目!!」


これも放られる。


「レオリオと一緒のレベルか―――……」


落ち込むゴンにクラピカは。


「心中察するぞ、ゴン!!」


と慰めに行った。

レオリオに失礼だということには気づいていない。


「じゃぁ次は私」


今度はが前に出る。


皿には、薄焼きの卵に何かが包んであるらしい。

それがシャリに豪勢に乗っかっている。


「うん。見た目は合格。味は……」


メンチは箸を使わずに手で持ち上げ、口の中に入れる。

それを受験者は息を呑んで見守る。


「こ、これは?クモワシとハクネツザメの卵?!」

「はい。クモワシはもうちょっと行った場所にいますし、
ハクネツザメは高温の温泉の中に卵を産んでも耐えられる程
熱に強く、さっぱりで歯ざわりがとてもいい卵。

それに濃厚で芳醇のクモワシの卵で閉じてみました」


※ハクネツザメは作者が勝手に作りました。



「2つの相反する卵が絶妙なハーモニーを作ってる!!

シャリも強すぎずも食べやすい柔らかさでご飯の味を
生かしきってる!!

これは文句無しの合格よ!!新しい味をありがとう!!」

「うっしゃ!」





二次試験第一合格者、