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「70名ですか、大変優秀な数字ですね。しかし問題はこれから。
1ツ星ハンターの称号を弱冠21歳でとった美食ハンターメンチ。
彼女はかなり手ごわいですよ。下手すると、さん以外は
受からないかもしれませんね」
というよりか、彼女はもう受かっているのですから
一人も受からないと言った方が正解でしょうか。
「あたしはブハラと違ってカラ党よ!!審査も厳しくいくわよ!
二次試験後半、あたしのメニューはスシよ!!」
シ―――ンと周りが静まり返る。
その後、スシとはどんな料理なのかという話題のささめき合いが起こる。
この中の一体何人がスシの存在を知っているのだろう。
知っているはその国の人間だけとごく少数しかいない。
私の世界では海外進出して和製英語にまでなってるけど、ここでは
美味しいスシ食べたくても現地のジャポンまで出向かなくちゃだから
それほど知られてないみたいなんだよね。
「ふふん大分困ってるわね。ま、知らないのも無理ないわ。
小さな島国の民族料理だからね。ヒントをあげるわ!!
中を見て御覧なさい!ここで料理を作るのよ!!」
建物のなかはシステムキッチンがずらりと並んでいる。
ここで作るのか。包丁も何種類もある。
ご飯も基本に忠実に炊いてあるから問題ない。
後は……ネタだね。
「最大のヒント!!スシはスシでもニギリズシしか認めないわよ!!
それじゃスタートよ!!あたしが満腹になった時点で試験は終了!!
その間に何コ作ってきてもいいわよ!!」
受験者は厨房に立ち、用意してある材料と道具を弄りながら
ニギリズシとは何なのかを考える。
「ゴン、キルア。私は先に行くね」
「ニギリズシ分かるのかよ?」
「ええ、ヒントは、川。私は違うものを作るけどね」
は建物を出て、高速と呼ぶに相応しいスピードで森を駆け抜ける。
+*
は自分以外いないか確認してから2匹の名前を呼ぶ。
「クビラ、インダラご苦労様。マフタツ山まではちょっと遠いかな。
おいで真達羅(シンダラ)」
クビラとインダラを狭間に戻し、違うトゥエルブモンスターの名前を呼んだ。
【様お呼びですか?】
「マフタツ山の崖まで飛んで欲しいの」
【御意】
シンダラは地面すれすれに飛び、はその背中に跳び乗った。
それを見計らいシンダラは急上昇し、音速の早さでマフタツ山の
割れ目へと飛び、着くとホーバリングというその場で動かず、
がクモワシの卵を何個か捕るのを待つ。
「コレぐらいでいいや。シンダラありがとう。迷企羅(メキラ)」
ヒュッと薙刀で空間を引っかくと純白の毛皮に青空の様な澄んだ
青の小虎がの膝にちょこんと乗っている。
【おっす。今日は何を出すんだ?】
「ハクネツザメの卵がほしいから冷蔵庫を出して」
【はいよ!】
メキラは大きく口を開け、自分が出て来た時と同じ光の球を出す。
それはフワフワ浮いて適当な場所に落ち、光の球は膨れ、そこには
大型冷蔵庫があった。
その冷蔵庫からタッパを取り出し、しっかり冷気が逃げないように閉める。
「戻していいよ」
合図を受けたのでまた口から光をだし、冷蔵庫をそれで包む。
冷蔵庫はそこにはもうなくなっていた。
「シンダラ、メキラありがとう」
2匹の頭を優しく撫でる。
【いいえ、これくらいお安いご用】
【もっと出て来たいんだから、遠慮しちゃ駄目だからな】
そう言って、2匹は元に戻っていった。
「さて、戻りますか」
はまた二次会場へと走る。
と2匹の念獣がいた場所には1枚の美しい白銀の羽が残されていた。


