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開始合図と同時に一斉に全員が走り出した。

……前言撤回。1名を残して、だ。

はそのまま残っている。


「ちょっと、あんた。行かなくていいの?」


メンチはへと参加を促す。


「行ったら二度手間です。ほら、やってきた」


ブオオオオオ


バファロー以上の体躯で巨大な鼻を持つ豚、グレイトスタンプ。

この公園には豚はこの1種類のみが生息している。


「絶対他の受験者が怒らせてこっちに連れてくると思ったんですよ」


ズサアァァァ

は薙刀でグレイトスタンプの額を一突き。

そして、グレイトスタンプは絶命した。


「ゴメンネ。いただきます」

グレイトスタンプを手馴れた様子で調理の下準備をし、
腰のベルトポーチからマッチを取り出して豚を木に吊るして焼いていく。

メンチはピュウッと口笛を吹く。


「あんたやるわね」

「こんなの所詮は慣れですよ」


火加減の頃合いを見て、ブハラの前にコンガリ焼けた豚を差しだした。

ドカッ


「ウヒャァ〜うまそ〜〜いただきまーす」


豚は……あっとゆう間に消えてしまった。


「うん!!とっても上手い!!」



二次試験前半、第一合格者、



「あんた名前は?」

です。今回の観察方を勤めさせて頂いてます」


軽くお辞儀し、自己紹介をする。


「ああ、あんたが例の……良くもまぁこんな良い人材すぐに
連れ出せたもんだわ」

感嘆のため息を吐くメンチには微笑をしてからグレイトスタンプ
に吹っ飛ばされる受験者を追ってその場から離れた。


「宮毘羅(クビラ)吹っ飛ばされて試験続行不可能な受験者を探索。

因達羅(インダラ)は拾った受験者一箇所に集めて」


人気のないことを確認してからは漆黒の鼠、クビラと火を纏った馬、
インダラを呼び出した。


【はいよご主人】【数か時間の制限はないのか?】


「ドラの音が鳴ったら終わりの合図。終ったら私が呼ぶまでここに待機よ」


【【承知!!】】


そう言って2匹は湿地を駆けていった。


【子分共散ってこいや!】


クビラは何百もの子ネズミを森林に走らせる。


【北北東200mに3人、東南東100m中心に半径50mに6人】

【こりゃ面倒だな】


クビラの報告を聞いて、インダラは鬣を揺らした。

鬣の欠片が空気中に霧散したかと思うと、
少し時間をおいてから大きな火の玉となって帰ってくる。

※因達羅の"悪戯好きの赤馬(シャッグフォール)"は
重量200kg以内であればメッセージと共に送り先に届ける事が可能。



【さっさかと集めるか】

【あ、また一人豚がブタにぶっ飛ばされた】







「あ〜〜〜食った食った。も〜〜お腹いっぱい」


ゴオォォン

終了の合図のドラが鳴る。


積みあがった豚骨、実に70体分!!化け物だ!!


「やっぱりハンターって凄い人達ばかりなんだね」


ゴンは変な所で感心する。


「すごいっちゃすごいけど、ああはなりたくないけどな」


なりたい人がいたらお目にかかりたいもんだわ。


「おかしい…!!妙だぞ!?明らかに奴の体積より食べた量の方が多い!!」

「いや、そんなマジで悩まれても…」


人それぞれがこの状況に驚くしかない。


……ぶっちゃけ私も念の存在を知らなかったらクラピカみたいに
悩んだのだろう。


「……でも、違う意味で納得いかない」

、どうしたんだ?」


悔しそうに顔を歪めるのでクラピカは心配そうに声をかけた。


「なんであんな料理の手順無視しまくった丸焼きが合格するの?!

焼けすぎ、生焼けが少なくとも25人はいた!!納得いかない!!」


こっちは香りのいいハーブを使ってまでこだわったのに!

美食ハンターがそんなんで本当にいいの?!

の苛立ちを分かりあえる人間は……残念ながら今この時点ではいなかった。

は美食ハンターでも上手くやっていけると

この時クラピカとレオリオは確信した。





二次試験前半、70名通過。