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【主、あいつ等の記憶は1時間前までをすべて消した】
【彼等は目的地に無事送り届けた。まもなく協会が保護するだろう】
伐祈羅(バサラ)と額爾羅(アニラ)がへ仕事完遂を伝える。
「ご苦労様バサラ、アニラ。
次もよろしく」
【【承知した】】
彼等は空気に混ざりながら姿を消した。
「さて、残りは170ちょいか。そろそろ戻っておくかな」
サトツのオーラを追い、戻ろうとすると、尋常でない殺気を感じた。
これは……ったく!!やっぱり忠告聞いてない!!
クラピカとレオリオが危ない!!
ゴンもそっちに向ってる!!
は、全速力でそちらに向う。
急ぐ。
彼等は死ぬには惜しい人間だ。
「ギャッ!!」「ヒイィィィ」「ウアァァ」「痛てぇ!!」
置く深い沼地に沢山の人間の阿鼻叫喚が木霊する。
周りにはトランプが刺さって絶命した死体がいくつも転がる。
地獄絵図。
そう呼んでも差し支えない。
「てめぇ何しやがる!!」
二の腕にトランプが刺さり、片手で止血するレオリオが
この光景を作り出した張本人ヒソカと対峙する。
「くくく◆試験官ごっこ」
トランプを弄びながら生き残っている者達へと近づいていく。
「にも念を押されたし、二次試験位までは大人しくして
ようとは思ったんだけど、一次試験があまりにタルいんでさ。
選考作業を手伝ってやろうと思ってね◆
ボクが君達を判定してやるよ♣」
まるで、獲物を前にした蛇のような目。
恐怖を感じるのには十分だ。
「判定?くくく馬鹿め。この霧だぜ。
1度はぐれたら最後どこに向ったかわからない
本隊を見つけ出すなんて不可能だ!!
つまりお前も俺達も取り残された不合格者なんだよ!!」
まくし立てる受験者の額にトランプが刺さる。
其の侭、何が起こったか分からずに倒れた。
「冥土の土産に覚えときな♦奇術師に不可能はないの♠」
その様子を一部始終見ていた人達は、ヒソカを囲い込む。
覚悟を決めた瞳。達人と呼ばれた者としての意地がそこにある。
「殺人狂め。貴様などハンターにんある資格なんてねーぜ!」
「2度と試験を受けられないようにしてやる!!」
ヒソカはそれに対しても表情1つ変えずに考え込んで。
「そうだなァ〜〜〜君達まとめてこれ1枚で十分かな♣」
「ほざけぇぇ―――!!!」
一斉に動き出す。が、ヒソカの動きは彼等よりずっと速かった。
瞬く合間に1人また1人と地に伏せる。
地面が赤い血を吸う。
「くっくっくあっはっはっはァ――ァ!!?」
壊れてる。
その一言に尽きた。
そして、残ったのはレオリオ・クラピカ・No76。
たったこの3人のみ。
NO76がクラピカとレオリオに小声で囁いた。
「オイ、俺が合図したらバラバラに逃げるんだ。
奴は強い……!!
なぜならアイツは人を殺すことを一片
のためらいすらないからだ。
今の俺達が3人がかりで戦おうが勝ち目はないだろう。
お前達も強い目的があってハンターを目指しているんだろう?
悔しいだろうが今は……ここは退くんだ!!」
冷静かつ、適切な判断だ。
レオリオとクラピカもそれは十分に分かっているはずだ。
そして…。
「今だ!!」
3人は3方向に別れて逃げ出した。
「成る程。好判断だ♥御褒美に10秒待ってやるよ♥」
ゆっくり、獲物を嬲るのと同じようにゆっくり数える。
楽しんでいる。
人を殺すという、道徳上最大の禁忌を……。
「きゅーう、じゅーう。さーて誰と遊ぼうかな……」
3人が向った方向をなめる様に見回すと、霧の中に、
逃げたはずのレオリオが立っていた。
「やっぱ駄目だわな。こちとらやられっぱなしで
我慢できるほど……気ぃ長くねーんだよォオ――!!!」
ダッ
レオリオはたった1本の木の棒でヒソカに向っていった。
今まで戦っていた受験者は刃物でも敵わなかったのを
知っているのに。
命知らずか、勇気があるのか。
それは各個人の考え方次第。
少なくとも、ヒソカはその行為を嫌っていない。
「ん〜〜いい顔だ◆」
「うおおお」
棒を振り下ろすが、ヒソカはすでにかわしてレオリオの背後に立つ。
最後か……と思われたが。
ドゴッ!!!!
ヒソカの顔に…釣竿の錘が当たった。
糸を辿ると……。
「ゴン?!」
レオリオの叫び声を聞いてかけ戻ってきたゴンがそこにいた。
予想も出来なかった攻撃にヒソカは何を思ったのか。
レオリオに興味を無くし、ゴンへと近づく。
「やるねボウヤ♥」
声をかけられ、思わず後ずさる。
「釣竿?おもしろい武器だね♣ちょっとみせてよ◆」
ゴンへと足を進めるヒソカ。そこに。
「てめぇの相手は俺だ!!」
後ろから不意打ちをかけるレオリオ。だが……。
ゴッッ!!
ヒソカのパンチがレオリオの顔面にモロ当たって行った。
レオリオの体は衝撃で宙を回る。
「!!!」
ゴンはそれを見て、もう1度仕掛ける。
が、次はスカ。
ヒソカを見失った。
ゾクッ!!!
後方に恐ろしい殺気を感じる。
殺される!!
そう悟ったのだが。
「そこまでだヒソカ。ゴンから手を離せ」
ヒソカの首筋に薙刀の切っ先を付きつける先には、
今まででは信じられないほどの圧迫感を
ヒソカへと向けているがいた。
