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また数時間が経過した。
NO187を皮切りにしてどんどん脱落者が増えていく。
もうそろそろ半分は脱落した。ふっと力が抜けて
立てなくなる者、階段の段差に腰掛けて泣き出す者、
それでもここならまだ命の保障はできるし、
数時間後にはハンター協会に保護される。
「クラピカ、レオリオ。私はもう少し後ろにいくけど平気?」
「おう!も仕事熱中して遅れんなよ!!」
「了解」
汗だくのレオリオはそう言い捨ててクラピカは
目配せして行くように促した。
そしては跳ねる様に階段を下りていった。
「化け物かよ。女なのに全然平気そうだぞ」
レオリオは目先でを追いながらそう呟いた。
「試験合格前にハンター協会から信頼を得ているような人物だ。
当たり前、と言ったらそうなのだろうな」
+*+*+*
「NO51。96Km地点脱落確認。これより試験官側まで戻ります」
『了解』
最後に顔の濃い自称小学生の脱落報告をしては電話を切った。
※世紀末リーダーたけしが分かる人は1巻P139を見てみましょう。
(BY筆者)
大気の流れから、地上はもうすぐそこ。
は飛ぶように2,3段をまたいで駆け上がっていく。
+*+*+*+*
試験官サトツ近辺。先頭を走るのは最年少のキルアとゴンだった。
「いつの間にか1番前に来ちゃったね」
後ろを振り向くと息を苦しそうに吸う集団が行列をなして走っている。
異様であるし、それなりに年をくった男ばかりでムサい光景だ。
「うん。だってペース遅いんだもん。
こんなんじゃ逆に疲れちゃうよなー」
「もいつの間にか後ろいっちゃったし、どうしたんだろ?」
ゴンが首を傾げ、キルアもどうだろうとポリポリ頬を掻いた。
「だけ雰囲気違うもんな。落ち着いてるつーか、気になるよな」
「だよねー。俺もエレベーターで会ったばかりなんだけど。
はもう仕事してるからなのかな?」
「さあ?…って、おいゴン」
キルアはゴンの肩をつついて後ろを向かせた。
ゴンはどうしたのだろうと思いながら、首だけ後ろに回すと、
跳ねるように階段を駆け上がり、その振動で帽子が落ちないように
手で押さえている奴がこちらに向かってくる。
だ。
「やっと追いついた。ゴンもキルアもイイ脚持ってるのね。
まさか一番前だとは思わなかったわ」
「遅せえよ。何道草食ってたんだ?」
「お仕事よ。サトツさんお久しぶりです。
現在、試験者は311名残ってますよ」
は前を走るサトツに声をかけるとサトツはダンディー
なヒゲを弄りながらこちらを向いた。
「こちらこそ久しぶりですね、、いえ、さん。ご苦労様です。
まさかアナタが観察方だとは思いませんでした」
サトツは、の叱責の表情を読み取り、ゴンとキルアが呼んだ名、
を使った。
「あはは、私も一昨日まで知りませんでした」
乾いた笑い声をあげるは、仄かに殺気を漂わせていた。
その殺気を向けられている主をしらないサトツとキルア
とゴンは冷や汗を流した。
「あ、ねえの探しものって何?俺エレベーターで
聞いた時から気になってたんだけど」
ゴンは雰囲気を払拭しようとにそう尋ねた。
「俺も聞きたいな!」
キルアもそれに面白みを感じたのかすぐに乗ってきた。
は考えるそぶりをみせる。
「ん〜。じゃ、ギブ&テイクでゴンとキルアの受験理由教えてよ」
「いいよ。俺の親父、ハンターをやってるんだ。
だから俺も親父みたいなハンターになるのが目標」
キラキラした黒曜の目は間違いなくジンと同じ光を放っていた。
血は争えないって、この事だね。
はクスリと笑んだ。
「俺は別にハンターになんかなりたくないよ。
ものすごい難関だって聞いたから受けてみただけ」
何の感情もこもらない台詞。
キルアの銀の髪を見て、はふと知り合いを思い出した。
「言いたくなかったら黙殺していいけど、キルアの
ファミリーネームって何?」
「ゾルディック」
ビンゴ。
はこめかみにしわがよるのを感じ取った。
よく見るとシルバさんに似てるよ。
シルバさんと死闘をしてからはまだ丸1年たたない。
何度思い返してもよくぞ生き残ったと自分を褒めてやりたくなる。
「その様子だとうち知ってるんだ」
「ちょっと色々あって……言っておくけど依頼人じゃないから」
依頼人とは殺しを望んだ人間。
どんな事情があろうともそんな奴らと同じカテゴリーにいたくない。
「そうだろうね。だったら頼まなくてもできるだろ」
はその返答に肯定も否定も返さなかった。
「もう出口近いな」
「わかりますか?」
サトツに聞かれて頷いた。
「見ろ!光だ!!」
光明が指し示す出口が目の前に広がった。
