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それから約3時間。
後ろを走って、脱落者を確認できるようしている
のだが、まだ1人も無し。
でも、レオリオが全身から滝のように汗をかいて呼吸も荒い。
目もまぶたが重たそうだ。
少しづつ、集団から離れていく。
「大丈夫?」
ゴンが心配そうに何度も何度も後ろを振り向いて声をかける。
本人は平気だと親指を立てはするが、全然そうにはみえない。
し、信じられねー!!もう4・5時間は走ってるはずだぜ!!
なんで誰1人脱落しねーんだ?!
なめてたぜハンター試験を、否……本試験に集まった受験者達をだ!!
子供のゴンやキルアも涼しそうに走ってやがる!
!
3年に1人。マジで選ばれた者だけしかなれない職業か……。
俺見たいな凡人にゃ、夢のまた夢ってか……くそぉ。
ドサッ
遂に、トランクを握っていられなくなった。
「レオリオ!!」
ゴンは立ち止まってレオリオを見る。
「ほっとけよ。遊びじゃないんだぜゴン」
キルアは冷静に判断して、ゴンを諌める。
キルアの言う通りなんだ。
落ちるならばここで落ちた方が、命の保障は出来る。
「レオリオ、終りにする?」
も立ち止まり、最終確認をとる。
ポケットにあるケータイを用意しようとすると。
「……ざけんなよ」
粘り強い響きを持つ声。まだ彼の精神の柱は折れずにいた。
「だったら走り抜きなさい。
戦い抜けないと次は見えてこないよ」
言葉を投げかけ、レオリオはぐっと顔を持ち上げた。
負けられねぇ!!
「絶対ハンターになったるんじゃ―――!!!
くそったら〜〜〜〜!!」
凄い勢いで私やゴンを追い抜かす。
……まだ、平気みたいね。
ポケットから手を抜いた。
「ゴン、それであれとってやってよ」
が指差すのはレオリオのトランク。
「うん!!」
元気よく返事してゴンは釣竿に力をいれて糸の部分を飛ばす。
ヒュッ グッ パシッ
上手く針の部分を手すりに引っ掛け、手元へと引っ張った。
「ナイスキャッチ!」
はパンと手を叩いてそのコントロール能力に賞賛を送った。
「お〜かっこいいー後で俺にもやらせてよ」
「スケボー貸してくれたらね」
少年同士らしい会話には微笑をもらした。
さて、この試験どうなる事やら。
思ったより楽しめそうで良かったよ。
更に3時間後。
「……まずは1人目」
散々にアモリ3兄弟にからかわれて脱落したルーキーのお坊っちゃん。
あれは、精神的に深い傷になるだろう。
ポケットの呼び出しボタンを押す。
『はい』
「NO187・70km地点脱落確認」
『了解』
「誰にかけたんだ?」
クラピカも少しだけど疲れをみせてきた。
ポケットにケータイをしまいながらは通話先を伝える。
「ハンター試験脱落者保護係」
「何?!どうしてそんな所に?」
クラピカの問いかけには顔色を変えずに答える。
「私の仕事。受験者側の方が数の把握し易いからって協会の方からね」
そう言ってはずれ下がったニットの帽子を直した。
は計り知れない。
強いのは会った時から分かってはいたつもりだが、
それにしても、この距離にも汗1つかかない体力。
ヒソカという一目で危険だという人間にも怖気づかない。
脱落者の処理という極めて大事な仕事を回される
ハンター本部からの信頼。
一体、何者なんだ?
そして………。
「クラピカ・レオリオ。階段だ」
の声でクラピカの思考は途中で止められた。
の言う通り、目の前には終わりが見えない長い長い階段。
「ここで、脱落者が増えるな」
「うん」
