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4時間前とは比べ物にならない人、人、人。
ざっと400人はこの空間に詰まっている。
3人は今まで出会った受験希望者との違いを肌で感じているだろう。
ここは一般では達人と呼べる者の宝庫だ。
「地下道みたいだね。一体何人くらいいるのかな」
否、ゴンは先程と変わりない元気の良さ。
良く言えば肝が座っている、悪く言えば能天気。
でも雰囲気に飲み込まれないのは重要だ。
これからもあらゆる所で役に立つだろう。
「君達で406人目だよ」
上に座っている太めの中年男、トンパが話かけてきた。
クラピカは警戒心を高めているが、人見知りしないゴンは
簡単に握手を交わす。
「俺はトンパ宜しく。君達は新顔だね」
「分かるの?」
これで分かるという事は400人余りもいる人間の顔
を覚えていると言う事だ。
それは真実凄いことだと私も思う。
「まーね!なにしろ10歳から35回もテスト受けてるから」
どうやらまだ新人潰しに余念がないらしい。
は表情にこそ出していないが、呆れてるのやら
何なのやら分からない気分だ。
「君は…」
「です」
パチンッとウィンクし、自分の事を話さないように口止めをする。
がだと気づくとトンパは何も言わずに目をそらした。
「あれ?はプレート貰わないの?」
ゴンは自分が渡された405のプレートをつけながらに聞く。
「2枚貰う訳にはいかないでしょ?」
は懐から1と書かれたプレートを取り出す。
それをみた4人は驚きの表情を露にする。
「1?!ってことは一番最初に着いたってことかよ!!」
「うん。だから時間余っちゃってさ。
買い物して、戻ってきた所に君達と会った」
プレートを胸に付ける。
その数字を見た周りは信じられないと言いたげな目で
こちらを見てくる。
成人していない子供のである。
そんな子がこの中で一番でたどり着いた証は
浮いてしまうのは当たり前だ。
「へー君凄いね。ルーキーで一番に着いた人は始めてだ」
トンパはいかにも初めて会いましたと言った口調で感嘆の声を上げた。
うん、物分りのいい人だ。
「早く着くのと強さは関係ないですよ。
じゃあ、私ちょっと人に会ってくるから。
ゴン・クラピカ・レオリオまた会おう」
後ろへと踵を返し、右手を左右に振って4人から離れていく。
あのまま居たら、4人が危険に晒されてしまう。
ったく!ヒソカが試験を受けに来るの知ってたら
絶対仕事請けなかったのに!!
殺気がこっちに近寄ってくる。
「ヒソカ。気持ち悪い視線を寄こさないで」
ヒソカは世界中の異質な者の集まるこの試験でも更に異質。
私とは違う異質の種類を持っている。
この中で最も危険なのはこいつだ。
幻影旅団4番、ヒソカ。
「クックック。はつれないなあ。受けるなら言って
くれれば一緒に来たのに◆」
ピエロを彷彿させる奇妙な衣装。
顔にはトランプのマークのフェイスペイント。
なのに本人は道化師でなく奇術師と言い張っている。
どこからみても生粋の変人。
そして、私が今まで会った人間の中でも最上級の危ない人間だ。
「去年落ちて本当に良かったよ♧早速団長にも自慢しなくちゃ♡」
「絶対止めて!!」
下手したらクロロだけじゃなくて旅団全員来るから!!
数年前の事件以来、旅団とは何度敵として対峙したことか……。
あれは死の危険より身の危険の方が大きかった。
「とにかく、できるだけ人を殺さないでよね!?」
は捨て台詞を残して急ぎ足でその場を離れた。
「それは保障しかねるよ♧」
その声は、には聞こえない。
