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ここはザバン市。
FAXで送られてきた地図を頼りに道を歩くと、"飯処 ゴハン"を発見。
「ここだ」
はなんの疑いもなく店の扉を開けた。
空間を遮っていたものを取り払うと良い匂いが鼻腔をくすぐる。
「いらしぇーい!!御注文は?」
中はある程度の人間もいて、繁盛しているといっても言いだろう。
カウンターに店主らしきオジさんがチャーハンを作っている。
「『ステーキ定食』で『弱火でじっくり』お願いします」
メニュー表にはない定食を頼み、最後の焼き加減も付け加える。
受付への2つのキーワードを口にするとオジさんは眉を吊り上げて
店員に私を奥の部屋に案内するよう伝えた。
「こちらになります」
奥の部屋には鉄板のテーブルが1つ。
その上には肉が香ばしい匂いを発しながらジュウジュウ音をたてている。
ドアは閉められ、一瞬の浮遊感が体に伝わる。
その後には下に下がる感覚。
「エレベーターか」
私の時の試験も隠し部屋だったが、こういう試験以外に利用価値が
あるのかどうか非常に疑問だ。
「ま、深く考えても利益はないし、まずこの美味しそうな
ものを食べちゃうかな」
は置いてあった箸と皿に手をかけた。
数十分後。
食べ終わり、周りを片付けていると。
チ―――ン
と音がして、上部にあるディスプレイにはB100とあった。
「ご馳走様でした」
手を合わせて、10000ジェニーを机に置いてドアを開けると、
広い空洞が広がっていた。
廃坑道のような周りをコンクリートで固めた殺風景な風景。
ここまでは私が受けた時と似たようなものだが、
今回はそこに豆みたいな頭をした人がぽつんと立っている。
「マーメンさん」
すでに知り合いなので、愛想良く話しかけた。
「あ、さん。今日はよろしくお願いします。
本当は違う人間がするはずだったのですが、
一昨日意識不明の重症になりまして…。
さんぐらいしか頼める人がいなかったんです。
本当に助かりますよ」
数回忙しそうにお辞儀するマーメンに気にしないようにう
間、は心中でぽんと手を叩いていた。
成る程。道理で昨日急に聞かされた訳だよ。
一昨日じゃハンター協会側も随分焦っただろう。
つーか、意識不明の重態って、一体何があったのだろうか。
は1と書かれたプレートを受け取り、そして腕時計の
時間を確認した。
「あと、5時間はありますね。時間たっぷりもあるし一回外に
出て買い物してきてもいいですか?」
「ええ。構いません。4時間後くらいに戻ってきてもらえれば
十分間に合います」
「じゃあちょっと行って来ます」
少し携帯食料買って来ないと危ない。
あとコショウと塩も欲しいな。
は買い物リストを頭の中で思い描きながら、
もう1度エレベーターに乗り込んだ。
