#16
嬉しい。
それだけが胸に広がった。
幻影旅団に連れ去られたのをトゥエルブモンスターから
聞いて、すぐに助けにいきたかった。
それでも、の言伝は学会関係者の安全の確認。
その後で来て欲しいだった。
指定された病院に行って、一通りしたらプロハンター
らしい奴に全部任せて、を探そうとしても、
オーラを感じなかった。
のオーラなら、ある程度の範囲ならどんなにヘボい
念能力者でも見つけられる。
それほど大きく、輝かしいものなのに、見当たらない。
嫌は予感が頭をよぎった。
死。
スラムで路上に転がる死体を俺は何度もみた。
ハンターとなってからも何度も。
があれと同じになる?
そんなのは耐えられなかった。
『見ての通り平気だよ』
苦労して見つけた時、生きていたのはとても嬉しかったのだが、
暢気に飯食って他の男共といるに八つ当たりしたくなった
俺を、誰が責める?
どうやら俺と同じくに惚れたらしい奴らがいるようだったが、
こいつを渡す気は更々なかった。
ここで潰しておこうかと思ったのだが、
アニラとバサラに止められて、の家に戻った。
緊張の抜けた俺は、に全部を暴露してしまった。
情けないほどに、に寄りかかっている自分がいる。
そんな時に、から手を回された。
『あのね、私初恋の人に、交通事故で死なれちゃったの』
抑揚なく、はその話をしていた。
から違う男が好きだと聞かされるのは
辛かったが、俺は大人しくそれに耳を傾けた。
『実は、クロロにキスされちゃったんだけど』
のその告白に、目の前が真っ赤になるような錯覚を覚えた。
『その後、その初恋の人と……カイト、
貴方だったら、許せるって思った』
そして、その後に続けられた言葉に、耳を疑った。
それは……。
『前の人忘れられないんじゃふたまたっぽいけど、
そんな私でも、まだいい?』
俺は、さっき話された男と同じ立場に立てた。
そういうことか?
そう理解すると、自然との顎に手を添え、
柔らかい唇に自分のそれを触れさせていた。
頬に触れる吐息も、柔らかく触れるその感触も、
すべてが気持ちよかった。
「いい。だから、それでいい」
ジンさん、あの時俺を助けてくれて、
本当にありがとうございます。
俺は、生きていることが、本当に幸せです。
カイトと付き合うことになった。
でも今までの生活が生活だからあんまり変わらない
んだろうなって思ってたんだけど…。
「カイト、しつこい」
「今までの補充してるだけだ」
本音を言いましょう。
私はカイトがこんなにキス魔なのを知りませんでした。
そりゃ、カイトとならいいんだけどさ、
今日だけで30回以上はキスしたよ。
しかも、やたら上手いから余計タチ悪いかも。
「また明日から仕事だからな。折角念願叶ったんだから
ちょっとくらい我慢してくれ」
初めての相思相愛の恋愛。
どうなるかは、これからのお楽しみ。
