#13
数日後…。
「ご飯だよー!!」
「おっしゃあ!今回は何だ?」
は大声で呼ぶとドスンドスンと足音立てて
いの一番にウボーが来た。
料理を作っているのは変なもの入れられるのを防ぐ為
だったのだが。
『作るなら全員分作れ』
と言われてもう専任料理人と化している事に誰も
つっこんでくれない。
美味いと言ってもらえるのは嬉しいけどさ…。
「チンジャオロースと水餃子と酢豚でデザートに杏仁豆腐。
リクエスト者はフェイタン」
「中華は作る人選ぶよ」
ちゃっかりすでにご飯をよそって箸を持つフェイタン
に続いて旅団達は奪うように飯を食っていく。
自分で言うのも何だけどさ…馴染み過ぎだよね。
中華鍋を水に浸しながらは心の中で独白した。
ここ数日、何度も何度も鍵を盗ろうと頑張っているのだが、
クロロかヒソカにセクハラされて殴って逃げるの
パターンに落ち着いてしまっている。
「、しゃもじどこ?」
未だに一つ目しか見えていないコルトピに聞かれて
は一番煩い場所を指差した。
「今フランクリンあたりが持ってると思うよ」
「分かった。ありがと」
「おかわり」
クロロから茶碗を渡されて、はさっとそれを
受け取り、適量に白米をよそってまた戻す。
「はい」
食事の時は停戦できるのでそれは本当に有難い。
クロロだってセクハラと言い寄らなければ私も嫌がらないのに。
こう言うと変だが、顔も頭も嫌味なほど良い。
ヒソカも髪下ろすと好青年でかなりビックリしたし、
かなり強いし、頭はどこかキレてるけど悪くない。
でもヒソカは本能的な所で拒否反応が起こる。
クロロは、キスされたりしたけど何か違う。
でも…私の心を揺さぶるのなら、胸を熱くするなら、
カイトの方がずっと上手だった。
この捕虜生活はぐるぐると1人で思考の螺旋を
描くより、ずっと回答を出しやすくなったと思う。
「、今度はナン食いたいからカレー作れカレー」
デザートは甘すぎるからいらないと手をつけないフィンクスは
ビールのプルタブに手をかけながらにそう言った。
「材料用意すればいいよ。…と、言いたいとこだけど、
そろそろ本気で帰らないとヤバイのよね。
だから、これ外してクロロ」
未だに付けられている手錠を持ち上げてはそう頼んだ。
「駄目だ」
「ケチ。仕事ほったらかして随分立つのよ。
私の信用がた落ちじゃない」
「俺の嫁になって永久就職すれば問題解決だな」
「私が結婚したくらいで仕事辞める訳ないし結婚するつもり
もない…って毎度毎度の押し問答続けるのも飽きたね。
そろそろ自力脱出させてもらうよ」
カタリと立ち上がり、は宣言した。
「生憎それは無理だろうな」
クロロの言い分は旅団全員誰を見ても分かる。
彼らはを逃がそうとは欠片とて思っていない。
「まずい飯食すよりに作らせた方がマシね」
「その通りだ。考え直せ」
「そりゃ俺たち盗賊だけど、に盗みとか殺しとか
強要しようとはしないしさ」
「団長とヒソカからはちゃんと助けるって」
フェイタン、ノブナガ、フィンクス、シャル、マチと
続いての説得をし始めた。
止めるってことは気に入られたってことなんだろうけど、
しかも、私もここの雰囲気嫌いじゃないんだけど……
でも、ずっといるのは無理なんだよね。
「う〜ん、でも迎え来たっぽいし」
くいっとは扉の方を親指で示すと同時に、
ドガアァン
蹴破られる音が部屋中に響いた。
ほら、帰りの時間だ。
