#11












夢を見た。


自分の所属していたソフトチームと高校の友人、
それに義兄とその仲間達…知らない人も交えて
宴会をしていた。

自分は馬鹿してる友人にいつものように
ツッコミ代わりの蹴りを入れている。


懐かしさのある夢に、寂しさと楽しさの感情が入り混じっていた。

そこに、ふとした違和感を感じた。



あれ?私は違う場所にいるのに、どうして私がいるの?

色のつく夢はいつものことだけれど、どこか皆ちょっと
ずつ大人びている。

私であるはずのも、今の私とあんまり変わらない。


それは、元の世界をテレビか何かで客観的に見いてる感じで、
これが現実だとなんとなく思ってしまう。


だとしたら、私が2人いることになってしまう。

…私は、私が思っているではない?


もう見慣れてしまった金色の瞳ではなく、
生まれた時からの緑の瞳に正面の光景を写す


そう、本当の私は、あの色を持っていたはずた。

私はではないとしたら、私は何?


記憶はなのに、違う瞳の色を持ったの私は…。


皆に会いたい。

ずっと守ってくれていた家族と、私を認めてくれた仲間達。

そんな人たちを置いていって、ここにいていい訳がない。


……そう思っていた私は、本当になの?


時渡りと、珊底羅が言うけれど、時渡りとは何?


あの"世界"は、私に何かさせたくてこの世界に私を飛ばした。

そう考えた時もあったけど、不確定で、しかも情報も何もないから
少しずつ理解するしかないと思っていた。


『大丈夫だ。あっちはあっちで勝手にやってる。
お前さんは、こっちで勝手にしていいのさ』


遠いところから、テノールの声が聞こえた。


『怖がらなくていい。お前さんは、この世界に
いなくてはいけないんだ。過去を忘れなくても良い。

しかし、現実から目をそらすな。

それが、どれだけ心苦しくとも』




声はそこで切れ、私ははっと目を覚ました。



静寂な闇に赤みを帯びた月が、太陽の光を反射させて、
地上に光を与えている。

パクノダもマチも寝ているようだ。



「この世界の生命じゃなくても、あの世界に私が
もう一人いても、私が生きていることに変わりはないよね」


自分にそう言い聞かせて、はまた眠りを貪った。





昔、フランスにルソーという人がいた。

その人は人の誕生は2回あると言った。


1回目は生命としての誕生。

2回目は、自我の誕生。


自我とは、本能を抑える力を持つこと。

本能とは、生きることを持続させる機能。

だとしたら、金の目を持つの自我は、
ここで誕生するのか?


記憶するとの違いを認識することは、
大きな意味をにもたらす。


そう、という同じであって違う個人を識別する
のは、何かを受け入れる土台を作るために必要だったのだ。