ファンタジック
この世界にきて2ヶ月たったので少しずつ慣れてきました。
この世界は私からみたらファンタジーの世界。
十二の獣と契約してからこの世界を歩いて見たものは
彼らとそう変わらない魔獣と呼ばれるものだったり、
奇妙な植物だったりと驚くしかないものばかりだった。
世界地図を見ると私の世界をバラバラにしたようなもので
近代的なものに関してはあまり相違を感じない。
空も太陽も同じなのに違う世界。
私は異世界に来た事を確信した
今いるのは大きな町から幾分か離れている捨てられてた山小屋。
ここがの住処となっている。
「念ってこの纏・絶・練・発なんでしょ?」
は言った順番に復習でやってみる。
体をとりまくオーラはカタチを変えたり消えてみたり
念とよばれる技術は役立つモノだと理解するのは容易かった。
「その通りじゃ。しかし、2ヶ月で基本を全て体得するとは、
は歴代の時渡でも随一の使い手になれるやもしれぬな」
「だからさ、その時渡って何?私の目の色が
変わったのもそのせいなの?」
の目は琥珀に近い金色の光を放っている。
元の色は緑だったのに、鏡を見たときにはとてもビックリした。
というか、この世界にきて最初のビックリがそれだった。
「おや、話しておらなかったか?時渡りはお主の一族の生業じゃろ」
珊底羅〈サンテラ〉は――元の名前は歌藍だ――驚いたと目を白黒させた。
私は12の獣に仏教の十二人の守護者の名前を与えた。
十二神将と呼ばれる干支との関わりも深い神。
暦の方には違う名前で十二神将が存在するが、わたしは仏教名を選んだ。
十二匹の守護する獣“トゥエルブモンスター”
それが彼らの総称。
「私の生みの両親は4歳になる前に死んじゃった。
の家の本家は母さんを本家に遠ざける事になった
私と父さんが嫌いなの。育ての親は父さんの親戚」
は何でもないとあっけらかんとした口調で言うがサンテラは
同情的な顔をするので私は平気だと教えるために笑いかけた。
今度はすばやくオーラの量を部分ごとに変えていく。
"流"は結構得意かも。
「そうか、では話そう。時渡とは簡単に言えば空間の調整師じゃ」
「空間の?調整ってことはどこかが壊れてるか点検でもするの?」
「そうじゃ。歪みは大抵何処の世界でもあるがそれが極端に
酷くなった時、時渡りがその世界に現れて自身の体に歪みを
吸い込み、正常化させると言っていた。
お主よりも3代前の主がその時渡じゃった」
サンテラに過去の記憶が脳裏に蘇ってくる。
今のとはまた違った輝きの銀目と赤髪の男だった。
「中々に良き男じゃったな」
「いや、そのご先祖様らしき人を見た事もないから」
同意を求められてもどうしようもない。
「それとこんな事も言っていた。
時渡りは空間と時を操る一族。
時渡りの一族は神に最も嫌われた人ではないかと…」
「私って特定の神をあんまり信じてないの。
誰であっても嫌われるのはあんまり好まないけどさ」
神…あの“世界”の事であろうか。
ならばそのご先祖様と私は違うのだろう。
少なくとも、あの“世界”は私に感じる事のできる
世界には連れてきてくれた。
「さーて、そろそろ昼食準備するかな」
は一通りの念修行を終えて背伸びし、ドアを開けた。
すると……。
「……何で行き倒れ?」
は軒先に倒れている長身の男を見つけた。
否、拾ったかな?
