5 怒り



一頻り泣くとはウトウトとして魁と由太郎の

腕の中で眠ってしまった。


ちゃん。無理してたんですね」


凪のひとりごこちの言葉にもみじが賛同を示した。


「ああ。急にあんな姿になれば不安になったり

怖かったりするのは当たり前なのにな」


しかし、最大の信頼を持つ兄弟が来て、やっとそれが出せた。

それが…安心して、寂しくなった。

自分達ではまだそこまではに信頼されていなかったのだと。

それでも、の寝顔はその荒んだ心を癒していく。


「泣いた後、すぐ寝ちゃうのも昔と一緒なんだな」

「ああ。泣き虫で、一生懸命で、中々人前では弱い所を

見せたがらない。まさしくそのものだ」


魁は抱き寄せた状態で起さないようにを持ち上げる。

肩にはの寝息が聞こえて来るほど近く、

腕からの温もりを感じる。

片方の開いた手での背中に置いて、落ちないようにする。

体制が整うと、魁と由太郎はこの状況を知りえるはずの

ここのそう責任者、羊谷に向き直った。


「では羊谷殿。拙者の妹、が何故このような

事態になったのか。お聞かせ願おうか」


先程、に見せていた優しさとは裏腹な冷たい表情。

まるでスイッチが入ったように、全く反対の感情を表す。



そこから醸し出される気迫は屑桐が五光を放つ

瞬間を遥かに越えている。


それを見た大半はそれに押されてしまって、

誰かがゴクリと生唾を飲む音が聞こえた。


「そうだぜ羊のおっちゃん。をこんな目に

合わせた奴は何処のどいつだ?!」


それは弟である由太郎にも言える事だった。

黒選のメンバーでさえ慣れ親しんだ

村中兄弟2人の豹変に驚きを隠せないでいる。


「ったく、その顔。まさにお前等は村中の息子だな。

お前らの母親が関わったあいつとそっくりだ」


1人、その気迫に押されずに飄々とした雰囲気を崩さない羊谷。

新しいタバコを取り出し。今までの経緯を語る。







「では、その梅星殿とやらの報告待ちか」


魁はを下ろし、浅黄色のユニフォーム

を毛布代わりにしてベンチに寝かせた。


「ああ。原因の女子生徒はこちらで処罰を決める。

今のお前等なら女でも容赦の2文字はなさそうだ」


羊谷はタバコ特有の白い煙りと匂いを吐き出す。


「当たり前だ。を泣かせた奴は誰でも

許すつもりはないかんな!!」


「由太郎に同じだ。たとえ女子であろうと、

拙者にはより大事なものはない」


(俺・拙者)達は、幼い頃からこの愛しい存在を守ると誓った。

だから、をこんな不安に落としいれた人間に手加減は必要ない。


「おーおー。ここにシスコン極まれりだな」


恥ずかしげもなく言い切る兄弟をからかう様に羊谷が

からかうかのように笑う。


羊谷は知っている。


この3人がどれ程お互いを大切に思っているのかを。

だからこそ、落ち着ける意味で飄々とした姿勢を崩さない。






「うーん。ビミョーに村中兄弟の気持ち

分かるから何ともいえないなー」

「……ああ」

妹持ちの主将2人が頷く。





「……兄弟の力って恐ろしいな」


猿野が呟く。


「……そうっすね」


子津が同意する。


が妹だと色々有りそうだしな」

「犬飼君、それはさんに失礼なのでは?」

「(ウナ、今は行っちゃ駄目だよ)」

またの元へ行こうとするウナを引っつかんで止める。


「あーあ。ちゃんGETはあの2人を超えないと無理なのかぁ」


兎丸の呟きにに好意を持っているもの達がビクリと肩を揺らした。
















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