4 頼りになる背中
「おーい。を呼び出しした奴、捕獲したぜ」
校舎から沢松が走ってくる。
「マジか?!脇役NO1沢松!!」
猿野が沢松に詰め寄る。
「おう!!それより脇役NO1とは何だ!!」
「その言葉通りじゃ!!で?犯人は何と供述してるんだ?」
待ってましたと報道部のネタノートを嬉々として取り出す沢松。
そして目当てのページを開く。
「拷問部の監堕汰さんの拷問テクによって聞きだした話によると、
問題の飴は科学部の部長が『乱●1/2』を見て栽培した
キノコの成分が入ったエキスを注入した試作品だったらしい。
それを盗んでに使ったそうだ。ちなみに本人は犬飼きゅん
を地獄の底まで追っかけ隊のメンバーだ」
簡単な走り書きのメモをまとめて話して追記を述べると
そのノートを閉じた。
「女の子にかんだたさん使っちゃだめだよぉー!!」
「まぁまぁ今回はしょうがないさ。で?
元に戻す方法は分かったのかい?」
を宥めて牛尾は話を先へと進める。
「今梅星先輩が科学部部長の家に向ってます。
電話に出なかったので家にいない可能性もありますが…」
「その結果待ちって事っちゃね」
「そんなぁ。はやく元にもどりたいよぉ」
しょんぼりとする。
「ああちゃん大丈夫だからね、ね!!」
を抱いている紅印はを落ち込ませないようにと必死であやす。
「失礼仕る。時間を過ぎてしまって申し訳ない。黒選到着した」
「おーっす。皆何集まってんだ?」
「こりゃピーと何かあったか?」
「皆がそろって僕の迎えかい?それは光栄というより当たり前で…」
「…はぁ、僕はどうでもいいや…めんどいし」
部長である村中魁率いる黒選高校。
村中由太郎、小饂飩勇、緋慈華汰歳、沖草次、到着。
「あ―!!かいにぃ!!ゆたー!!」
兄弟の姿をみつけたは紅印の腕から逃れ、2人の元へ走る。
「ピーと小さい子だな。誰だ?」
「ん?あの子どっかで見たような…」
由太郎が走ってくる小さな女の子の姿を見てデシャヴがおこる。
「幼い頃のと瓜二つではないか?」
「かいにぃ〜!!ゆた〜!!」
は一番前にいた魁の足に縋り付く。
「お主、やはりか?」
その言葉には頷く。
「?だから見たことがある気がしたんだ。
どうしたんだ。何かあったのか?」
由太郎は納得したと小さくなったがであると
何の疑問を抱かず、を心配する言葉をかける。
まだ何も話していないのに、姿が違うのに、
気付いて、自分を認めてくれる兄弟が嬉しくて。
塞き止められていた不安や恐怖が一気に外へと流れ出す。
「うっぇ。ヒック…」
遂に泣き出してしまった。
「まったく、泣き虫まで戻ってきてしまったか。
大丈夫だ。拙者も由太郎もちゃんといる。安心しろ」
「そうだぜ。大丈夫だから安心しな。
泣いちゃっても大丈夫だぞー」
魁と由太郎はと目線を合わせるために
屈んでを優しくよりもずっと大きな腕
で包み込むように抱き寄せる。
そして優しくの背中を撫でてやる。
「うっぅわ――ん!!かいにぃ〜ゆたぁ〜!!こわかったのぉ。
なんで…こんな…なったか…わかんにゃいし…ほかににゃんか…
もっと…あるんじゃ…にゃいかって…」
涙で視界が霞んで、額を魁の胸に押しつける。
涙声になってても自分の心配事を聞いて欲しくて、
苦しいけど必死に言葉にしようと努力をする。
「うん。それじゃあ心配になるよなー。
だから俺とにいちゃんがちゃんと一緒にいてやるって」
「ヴん」
由太郎の半被のようなユニフォームを手離さず、逆に強く握り締める。
大丈夫。この2人がいれば自分は安心していい。
長年一緒にいたから、それは間違いない事実。
この暖かい背中は私を裏切らない。
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