失踪!?


本日休日練習中。

いつも通り、球児達は白いボールを追って汗を流している。

その中で、いつもとは違う出来事が起きた。


「凪、の奴を知らないか?さっきから見当たらないんだが…」


休憩時間に使ったドリンクの片づけをしている凪に羊谷が話しかける。

いつもグラウンドでマネージャー兼部員で監督補佐の仕事を女子の
小さな体躯では考えられないほどの体力でちょこまかと
忙しそうに頑張っているはずのの姿がないのである。

マネ仲間の凪も見ていないと首を振る。


「いえ、探しましょうか?」

「ああ。頼む。今日の午後は華武と黒選とセブンブリッジが来るからな。

その打ち合わせをするからすぐ俺の所に来いと伝えろ」







凪はもみじ、檜も誘い、探しに精を出すが、
何処にも見当たらない。


「おかしいですね。つい20分程前にはいたのに」

「部室、更衣室、体育館、校舎、後は何処を探せばいいんだ?」


探し終わった場所の名前を指折り数えて探すべき場所が
なくなったと頭を悩ませるもみじ。


…何かあったのかも」


檜は1枚のカードを引く。


「お、おいそのカードは?!」

「塔の正位置。意味は事故、ハプニング、突然、急なトラブル…かも」


不安をつのらせる意味ばっかり……。


「そっそれってかなりやばくないか?!」

「もみじちゃん!!檜ちゃん!!

あれちゃんの靴じゃないですか?」


凪が指を指す方向には使われていない倉庫の前には
片方だけの上靴がぽつんと取り残されていた。


「ここか!!2人共離れてな!!」


もみじは足を上げ、そのまま一気に振り上げた。

ドカッ!!

大きな音を空けて扉は開いた。

中には1人の少女が横たわっているが。


ちゃん?!」


3人は中に入ってその子に駆け寄る。


「いや、違う。随分小さい子だな。3,4歳位か?」

「でも…服が、の。顔もに良く似てるかも……」


ダボダボの野球部のユニフォームに身を包み、
髪型も顔つきもを思わせるものだった。


「う…うん」

「おっ起きるか?おい、大丈夫か?」


もみじはその子を揺すって起きるのを促す。


「ふぇ。あっなぎにもみじにひのき?どおしたのぉ?」


少女、いや、幼女と呼ぶに相応しい子が3人の名前を言い当てる。


「ってことは…」

「もしかして…」

…かも」


3人は驚愕してと思われるその子を見る。


「うん。あたりまえじゃない?」


「あの、ちゃん。冷静に自分の体をちゃんと見てください」


凪がしどろもどろに言う。

「ん?………なっ何これ!?私がちっちゃい?!

えぇ、どうしてぇ??!!」


今の自分の手を見てその小ささに驚きを隠せない。

話し方も小さな子供になってしまっている。

混乱するなという方が無理な話だ。


「それはこっちが聞きたいかも」


まったくその通りだ。


「一体何があったんですか?」

「え〜とねぇ。女の子によばれてね。

きゅうに口の中になんかいれられて眠く
なっちゃって…それからはわかんないの…」


つい先ほどの事なのに靄がかかっているかの様に
曖昧な記憶。体と同じく声色までも小さな子供と同じ。

すべてが、変化した体。

わずかな沈黙の時が流れ、もみじがそれに
終止符を打つように口を開く。



「…とにかく監督に報告だな」
「ええ」

「なぎ〜。もっと小さいふくが欲しい〜
このままじゃ歩きにくくてしょうがないよ〜」

服を引っ張ってってもずるずる裾が邪魔になり、
悪戦苦闘している


3人はその様子を見て、大変な状況にも関わらず
その可愛らしさに和んでしまった。









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