屑桐家訪問





「ってことで、屑桐さんの弟妹と言う事が分かったので
だったら華武高校まで着ちゃった方がいいと判断したんです」


掻い摘んで今までの出来事を話終える

が来た理由は大いに納得できたのだが。


「つーかそれって交通事故気じゃん煤i@Д@)」


出来事の凄まじさに唖然として聞いていた華武の面々。

朱牡丹は立ち直りが早く、話の一番大事なところをピックアップする。


「ホホ、の仰天珍事もレベルアップして来ている故」


「それは菖蒲監督だけには言われたくありません」


いつの間にかに部員と共に話を聞いていた菖蒲監督の心外な言葉に待ったを入れる。


「2人共本当に平気だったのか!?」


屑桐が2人に攻め寄って大事はないのか聞く。


「無二子が頭に怪我しても姉ちゃんが病院に付き添ってくれたし」

「服が汚れちゃったからっていらない服まで貰っちゃった」


無汰と無二子がお互いの顔を見合わせて「ねー」と声を合わせる。


「怪我の方は跡も残らないそうなので平気ですよ」


「なんかまたスゲー事してんのなは」

「御柳君。なんであんたは私に張り付くのが好きなのかなぁ?」


の頭にあごを乗せて肩に腕をかける御柳にはため息を吐く。


「え〜そりゃの抱き心地が気持ちい「アホ!!」


ドカァと再び久芒が御柳へと足技を炸裂させる。


御柳には学習能力はないのだろうか。


ちゃんの迷惑も考えリング」


鼻水を長袖で拭きながら久芒は御柳に説教する。


つーか、いつの間に久芒さん私の事名前呼びになったんだろう。


は抱き付かれた事よりもそんな些細な事の方を気にしていた。


おそらく、由太郎や兎丸等にいつもされていて慣れてしまったのだろう。


「警察等にはもう連絡済ですよ。どうやら居眠り運転だったらしく、

2人にはなんの咎もないので怒らないであげてくださいね」


、弟と妹を助けてくれた事、心から感謝する。


はそんな状況で平気だったのか?」


「あんな位でどうかなる程柔な人間じゃないですよ。

病院には後日保険証を持って行って下さい。

保険も効くそうなのでそのの説明もその時にだそうです」


そんな事故をあんな位と言えるは何者だよ!!


善良(?)な華武部員の心のツッコミな聞かれる事はなかった。


そしてこの数日後に黒蝶の話題がマスコミを通して華武野球部員


に更なる仰天を運んで来ることになる。


「相変わらず仕事が早いな。本当に華武に来たらどうだ?

俺達は全員歓迎だぞ?」


「だから来ませんって。これで用は済みましたし、私はそろそろお暇(いとま)します」


はかばんを肩にかけ直して出口へと向き直ろうとすると。


「え〜〜!お姉ちゃん帰っちゃうの!?」

「ウチに寄ってよ!俺等何もお礼してないよ!?」


それを聞いた無汰と無二子が屑桐から離れてへとまとわりついた。


「う〜ん、もうこんな時間だしな……」


は苦笑を漏らしながら2人の頭をなでてやる。


「こんな時間だからこそだ。をこんな

夜更けに1人で帰らせる訳にはいかない」


きっぱりと屑桐は言い切る。

かくして、は屑桐家にお邪魔する事になった。









お姉ちゃんお料理上手だね!!」

「ありがとう無二子ちゃん。このお味噌汁運んでね」


は優しく無二子に笑いかける。

台所に立ち、子供と一緒に夕飯の用意する姿は

の内面にある母性を強く感じるものだった。


「いや〜可愛いっすね。なんか新妻みたいで」

「新しい高性能カメラ付きケータイ買って正解だった気(Ф∀≦)」


ニヤニヤしながら台所を覗き見る御柳と
パシャリとケータイのシャッターを鳴らす朱牡丹。

は当たり前として、何故お前等まで上がり込んでいるんだ?」


それをこの家の持ち主の屑桐はいつもより5割り増しの不機嫌な顔
でそれを見ている。


「屑さん、それは今更で抜け駆けは許さないング」

久芒は暖かいお茶を飲みながら屑桐に釘を刺す。


そう、屑桐家には御柳・久芒・朱牡丹も(勝手に)上がり込んでいた。




「無太君。皆のお箸並べたら座っていいよこれ出来たら終わりだからね」

「うん分かった!」


兄妹は楽しそうにが夕飯を作る手伝いをしていた。

作られた料理は食材が限られていたとは思えないほど美味しく作られている。

って、マジ上手い飯作れるよな。俺めっちゃ幸せ」


しまりのない顔でご飯を頬張る御柳には口の端が持ち上がる。


「自分で作った料理を褒められるのは素直に嬉しいよ。ありがとう」

「この煮物よくあの時間で味染込んでるング」


箸で煮物をドンドン口に運ぶ久芒。


「その辺は慣れですよ」


夕食を囲む輪は、思いのほか、朗らかだった。












流石に帰らなくてはとが腰を上げ、帰りは華武の4人お供が付いて
近くまで送った後、屑桐は家に戻ってきた。


「無涯兄ちゃんさ、姉ちゃんと結婚して姉ちゃん本当の姉ちゃんにしない?」


無汰は帰ってきた屑桐に麦茶をだして屑桐にそう言い出した。


「っぶ!!無汰、一体何を言い出すんだ!!」


唐突な弟の爆弾発言に飲んでいた麦茶を吐き出し、
屑桐は顔を赤くして声を荒げる。動揺してるのは一目同然だ。


「だってさ、あんなに綺麗で優しくて、料理上手くて、
これ以上ないほど良いお嫁さんじゃん。

つーか、俺が姉ちゃん本当の姉ちゃんに欲しい」


「無涯兄ちゃん、あたしもお姉ちゃんが

お姉ちゃんになるのがいいな〜」


無二子も屑桐の服を引っ張って主張する。

この弟妹は自分たちの命を助けてくれたた上にとても自分たちに気をかけてくれた
をこれ以上ないほど気に入ってしまったらしい。


「…………俺も、そうしたいんだがな」

は、俺をそういう目で見てくれるだろうか。


その前に、男として認識されているのかさえ疑わしい。


それでも、という存在が、自分の隣にある事を望んでしまう。


それは、強い独占欲だ。



今まで、感じた事のない程の。





「努力する。俺も、は好きだからな」




諦めは、しない。


諦められる程の、気持ちじゃないんだ。












NEXT