#9
茂る木々の木陰に腰を下ろして気持ちを落ち着ける。
「…来た」
すくりと立ち上がり、目を流して相手を見据える。
25人って所だね。全員男で武器持ち。
治療の跡があるから楓へのリベンジだ。
「今は体育館に入らないでもらえませんか?」
「1年のだな…。どけよ、オメェは関係ねぇから見逃してやる」
凄む男がを睨み付けた。
「今取り込み中なので番人しなくちゃなんです。
しつこい男は嫌われますよ」
「あんな女はもうどうでもいいんだよ」
当てつけられた言葉に目を丸くする。
「そりゃ顔は可愛いけどあそこまで暴力女だと扱いきれねぇよな」
「倒して彼氏になりゃハクがつくから追っかけまわしてただけだ」
「生足出して胸でかくてエロい体してるのもいいけどな」
「でもよぉ、楓と変態女に5人が動けなくされてんだぜ」
「仕返しの1つくらいしとかねぇとなぁ」
「オメェも結構いい体してるぜ。俺達と遊んでみねぇか?」
俯いて、髪がさらりと頬を撫でた。
は髪紐を取り、背中まで伸びている黒いつやのある
髪が羽のように広がる。
幾人かの男はそれが綺麗だと素直に思った。
「そうか」
冷たい氷のような響き。
「お前達のような下衆ばかりでは楓のあの様子も致し方ない」
猿野天国の方が何万倍もマシでイイ男だ。
「かかって来い。相手をしてやる」
地獄を見たければな。
「……死屍累々の四文字熟語再現だな」
沢松の呟きに猿野が思わず頷いた。
体育館玄関前には25名の男が呻いて倒れていて、顔をのぞくと
先日集団で襲いかかってきた奴らだった。
武器が所々で落ちている事もあってリベンジをしに
ここにきたのは明白。
「チンがいないよ?外で待ってるって言ってたのに」
楓がキョロキョロ辺りを見回すがの姿は何処にもない。
「これやったのって、間違いなくだよな」
もみじの一言は誰もが気づいていた事だった。
倒れているのに流血した跡はどこにもなく、
一箇所のみを抑えて呻いている奴らが大部分だから。
こんな芸当が出来る人間はしかいない。
数分、皆が皆どうすればいいのかわからず立ち尽くす。
「探すぞ」
猿野がぽつりと吐き出した言葉に全員が頷いた。
「俺はこれの後処理してやるよ。だって事は伏せとくぜ」
「ボクも話すよ。こういうの慣れてるから」
沢松と楓がその任を負って、それぞれが動き始めようとすると。
「なら文芸部が身柄拘束したぞ」
校舎側から続く道から文芸部の石坂がやってきた。
「本当ですか!?」
凪が思わず一歩踏み出してもう1度答えを求めた。
「石坂先輩!?ってか何であんたがここに!?」
猿野はまず先に石坂がここに現れた事に驚いたが、
に聞いたとすれば何の不思議もないことに一拍
おいてから気づいた。
「他の野球部はもう集めてある。お前達も来い。
の本音聞かせてやるよ」
もと来た道へと向きを変え、学生ズボンのポケットに片手を
突っ込んでいた手を出して手招きをする。
「ちゃんの本音?」
それはの不調の大本と関係するのだろう。
「そうだよ。このままじゃどっちも辛いだろ?
仕方ないから可愛い後輩のために一肌脱いでやるよ」
俺の長所と短所はおせっかいだからな。
歯を見せて笑う石坂は歩き出し、野球部員の奴らは
それについていった。
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