#8










キーンコーンカーンコーン

4時間目終了のチャイムが校舎内隅々まで鳴り響いた。


「さーて部室行こうかな」


は弁当袋を持って椅子から立ち上がった。


ちゃん。あの、これ何だと思いますか?」

声をかけられては凪へと振り向いた。凪がおずおずと
差し出した白い紙にどでんと書かれた文字は決闘状。

何故凪がこんなものを!?


「凪心当たりある?中見てもいい?」

「ありませんね。あ、どうぞ見てください」


三つ折りの紙を開くと体育館にこれから来るようにとの
旨が書かれていた。


「差出人は遊神楓…ああ分かった。ちょっと待って
ケータイで部室に連絡入れてから一緒に行こう。
話すより先に拳飛んでくる相手だから」


楓はお猿君が凪を好きなのを知ってしまったんだろう。

怒ってるだろうな。


「送信終了」


一応もみじにもメール送ったし、なんとかなるでしょう。







数分後、凪と楓が体育館で対峙した。

楓は半分目が据わっていて、凪はオドオドと楓も前に立っている。


「――君が鳥居凪か。決闘状は呼んでくれたよね。

悪いけど君には亡き者になってもらうよ」


ああ、やっぱり頭に血上りきってる。


「楓、凪はお猿君の気付いてないんだよ」

チン五月蝿い!!部外者なんだから口挟まないでよ!!」


楓はキッとを睨んで大声を出して威嚇する。


「完全な第三者って訳でもないからそうにもいかないの」


もっともにはそんなもの効く訳がなかった。


「問答無用!!お命覚悟!!」


楓は我慢できずに凪へと襲い掛かったが。


「駄目だよ」


ドッ

技発動前に楓の腹に手を回して押さえ込んだ。


「邪魔しないでよ!!」


もがく楓を抑えるの腕は緩まない。


「楓、お猿君が好き?」


この状況には場違いな冷静でべた付かないの声が楓に問いかけた。


「好きじゃなかったらこんな事しない!!」

「そうだよね。好きな人が違う人見てるのって嫌だもんね。

あのね、私はお猿君が凪に向けてる感情を知ってた。

それでも楓に教えようとは思わなかった」


何でだと思う?

は更に問いかけをする。


「そんなの知らないよ!」

「お猿君が楓を見てる目が幸せそうだったからだよ。

薄情だけどどっちの気持ちも知ってたから応援も妨害も
しない傍観者でいようって思ってた」


楓の力が少しずつ弱まってきた。


「楓より強い男の子ってそうそういない。

その人にいっぱい想いを伝えようと頑張ってる楓は凄いよ。

それでもね、お猿君の気持ちも聞いてみない?」

「…だって、ボクよりも…そっちが好きだって…」


楓は俯いての肩を強く握った。


「もう1回だけでも本人の口から聞こうよ。あんまり急ぎすぎる
ともっと大切なものを見落としちゃうかもしれないから」


楓を抑えている手とは反対の手で背中をポンポン
叩いて振動のリズムを作る。


「凪、楓、!!元凶連れてきたぜ!!」


もみじと沢松君と沢松君に引きずられてるボロボロになったお猿君。

間違いなくもみじの制裁を受けたな。


「ご苦労様もみじ。さーて、後は当人の問題ね。私は外で待ってる。
私は凪も楓も好きだからあんまし争って欲しくないな」


すっと楓から手を離して体育館から出て行く。





「…何してんだろ、私」


楓からしてみれば大きなお世話だよあんなの。

でもね、止まらないの。

誰かを好きになって相手が違う人を見てるとすっごく苦しいの。

気持ち分かっちゃうの。



「嫌な女」


嫉妬は醜い。


「馬鹿な女」


それを知ってるのに止められない。


「だから私」


清濁知ってるから、もっと色んな事が知る事ができる。


「私は私でしかない」


それより上でも下でもない。


今、私が持ってて、失って、消えていくもの全てがないと私でない。


不安定な天秤が体の中で微妙に吊り合いを保っている。

不安も悩みも私の1つ。





























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