#6
「話まとめると凶賊星は実力ある問題児を引き抜いて作った
傭兵部隊みたいなチームであると」
「ああ…そうだ。奴らは過去に他校で何らかの処分を喰らい
実名では動けない」
「だからあのイタリアの数字が登場って訳ですか」
これは随分色々教えてくれるわね。
「また随分と反則スレスレな、いや充分逸脱した
スタンスの高校ですね」
「そうね、でも個人プレーとも呼べる打撃では充分な威力を
発揮するはず。情報有難うございます。お名前は聞かないで
おきますね。貴方も実名で動けない1人なのでしょう?」
「っ、そこまでもう分かるのか!?」
スタンドの謎の男ははっとした顔つきになる。
「ここまで詳しいのは内部の人間だけですよ。
辰君、マウンド行くわよ」
「そうですね」
「…と言う訳です」
辰羅川が説明を終える。
「なるほど…この学校から何の情報も引き出せないのは
隠さなければならない事情を抱えているからなのか」
「自分のとこじゃ育てねーでスカウトに頼ってんのか」
「そう言えなくもないね。謎がすっきりした所で
後は……大丈夫でしょう」
そこから、バックの助けもあって1回表を乗り切った。
『1回裏十二支高校の攻撃です。迎える凶賊星学園
ピッチャークワットロ君。1番セカンド兎丸君』
ズドオォォン
「思ったより速い球投げるね。たしか凶弾とか言ってたけど」
でもうちのやつ等はもっと早いの見慣れてるからお生憎様。
「、慌てる必要もないし、過大評価でもなかっただろ?」
「そうですね」
監督の言い分に私は素直に頷く。
「急造チームに負けるほど、十二支はやわじゃないですね」
「ゲームセット!!」
『只今の試合は4-10をもちまして十二支高校の勝利です』
「「「「ありがとうございました〜!!!」」」」」
最後に挨拶して返る準備を始める。
「何故なの…今年は逸材を揃えてたのに、そんなに良い
選手が集中しているというの十二支は?」
ディエチの自問に猿野が失笑した。
「おいおい…まだわかんねーのか?
十二支は全員で一つなんだよ!凶賊星と違ってな!
同じ人数でも団結すりゃー何倍も力が出せるってこた!!
わかったかオバサン!!!」
「女性にその単語は最大の失礼なのよお馬鹿猿!!」
は両手が荷物で塞がっているので足で草陰(足の急所)を
踵で踏みつけた。
「グギャアァ」
「ディエチ監督、貴方がした事は良い所もありますよ」
それは問題起こしてグラウンドに立てなくなった選手に
もう1度場所を提供できた事。
前投手のあの怪我は、恐らく喧嘩でもしたんだろうな。
「あら、気づかれた?あいつ等も野球が本当に嫌いな
わけじゃないわ。問題も相手が悪い場合もあるしね。
黒蝶はソフトボールが強いだけじゃなくて中々聡明ね。
来年は私の元でチーム育ててみない?」
はためらう事無く横に首を振った。
「いいえ。まだここにいようと思います」
沢山大切なものがある場所だから。
「辛くても?」
「…最後まで諦めたくないです」
「そう。貴女本当にイイ女ね。女の私が言うのだから確かよ」
「それはありがとうございます。では失礼します」
一礼をしては仲間の元へと駆けていく。
イイ女ね……。私、本当はすっごく嫌な女なのに。
NEXT