#5







そして、数日後4回戦が始まった。

「4回戦の相手は凶賊星学園。ここは情報管理が厳しくて
選手達の名前すら良く分かっていません。分かるのは、
他の学校と比べて選手のローテーションが恐ろしく早い事。
最近もピッチャーが交代したようです」

「んじゃぁ平気だろ」


ベンチに腰掛けて羊谷はぶっきらぼうな答えを返して、
はほんの僅かに顔をしかめた。


「随分のんびりな返事ですね。少しくらい慌てても
いいんじゃないですか?」

は慌てる必要あると思うか?」

「慌てる必要はありません。でも、敵を侮るのは絶対しては
いけません。過小評価と過大評価、どちらが危険か聞かれたら
私は迷わず過大評価と答えます」


それだけ言い捨ててはくるりと背を向けた。
セーラーカラーが風でふわりと浮く。


「お出ましですよ、対戦校、凶賊星が」


反対側のベンチにやってきた黒のユニフォームをまとう
選手達とお色気100%の女性監督。


「……やっぱり、行かないとですかね」

「行かないとだな」

Missディエチをナンパ中の虎鉄と猿野。

あの万年発情期達は…!!象なんて発情期5年に1回なのよ?
少し見習う必要があるよまったく!!

比べる対象を間違えてるのはご愛嬌。


「お生憎だけど私30以下は守備範囲に入ってないの。
15年したらまたいらっしゃい」


あれ?何かする前に粉々にフラレてた。


「お猿君に虎鉄先輩、早く戻ってこないとメンバー表
書き換えちゃいますよ。ディエチ監督、部員が失礼をして
申し訳ありませんでした。今日はよろしくお願いします」


は虎鉄と猿野の襟首引っ張ってディエチから離れるように促した。
そして、謝罪の言葉と共に頭を下げる。


「へぇ、まともに口聞ける子もいるじゃないのさ」


キセルを艶かしい口から取り出して反対の手でくいっとの顎を
持ち上げられるが相手の出方を見ようと成すがままになっている。


「え、あの何でしょうか?」

「貴女、綺麗な顔してるわねぇ。私、男は30以上が守備範囲
でも女は15からOKよ。ちょっと大人な世界覗いてみない?」

「激しくお断りします!!」


はすぐさまディエチから離れて手間をとった。

女の人にナンパされたのは…まぁ初めてじゃないけど
こんな大人な女性からだったら初めてだよ。


「そう?残念ね」

さん、大丈夫っすか?」

「大丈夫…だと思う」


はぐったりベンチの背もたれに突っ伏した。


「災難でしたね。それと、さんは凶賊星の黒い噂を
知っていますか?」

「一応は…転校生の多い学校みたいなの。
後はこの学校出身のヤクザ屋の幹部が多いってこと」

いつもより疲れて重く感じる体を持ち上げて手持ちのノートを
辰羅川に渡した。


「転校生ですか?」


パラパラとページをめくる辰羅川は確かに転校生が大部分を
占めているらしいデータに目を通した。


「うん、分かったのはそれくらい。取材禁止の学校
だからそれ以上は出回ってなかった」


あまり上品なプレーはしてくれないでしょうね。

そして、試合開始の合図が鳴り響いた。


「ウーノ・ドゥーエ・トレ・クワットロ…イタリア語の数字
じゃない。イタリアがマフィアの舞台になりやすいからかな?」


『1回表凶賊星学園の攻撃は1番キャッチャーミスターウーノ君』


サングラスと稲妻っぽいモミアゲ、ウーノが打席に立つ。


『迎え撃つ十二支高校はピッチャー鹿目君』


鹿目が球を握ってマウンドに上がった。


本名を名乗らないなんて…ふざけた奴らなのだ。

苛つきを感じる鹿目が、第1投を放った。


キイィィン


『なんと凶賊星初回から3連続安打のつるべ打ちだ〜!!
是先発の鹿目君立ち上がりを叩かれました〜!!』


グラウンドのベースは満塁。


「だから、嫌な気がしたのね」

「そんな…鹿目先輩の調子は悪くないはずです。ここまで強い学校が
何故今まで無名で…「お困りなら手ぇ貸してやろうか?」

上のスタンドから声が落ちてきた。

私と辰君が慌ててベンチから出てスタンドを見る。

「どなたでしょうか?」

「あんたが有名は黒蝶かい。俺は怪しいものじゃねぇ」

「そう言う人が一番怪しいのが常でしょう」


帽子被って怪我だらけ、怪しさ満載じゃないの。


「大人しそうな顔の割にははっきり言うな。ちっとあんた等に
とっときの情報くれてやろうかと思ったんだが」

「情報?」


は眉間にしわを寄せる。

キイィィン


『1回表凶賊星にグランドスラムが飛び出した〜!!
4点先制だ〜〜!!!』

後ろから十二支のピンチのアナウンスが耳の鼓膜を揺らした。






















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