#1




黒撰との試合の翌日、十二支はセブンブリッジと江戸桜の試合を
観戦しに来ていた。


「セブンブリッジは昨年準優勝で第2シードですから
この試合は2試合目となるわけですね」

牛尾は受け取っている資料を見て監督に確認をとる。

「ああ、緒戦はコールドゲームの圧勝。
今年創部3年で今年がもっとも実力を出す時だろう」


心持真剣な顔つきの監督。
その傍でまったく反対にカチコチに固まっている奴は1人。


「な…凪さんついにお兄様の試合ですね。戦える日が来るのを
心待ちにしてます!」


猿野は憧れの凪と隣同士に座れて緊張しているためか、
しどろもどろな口ぶりでまくし立てる。
凪は、猿野とは反対の憂いだ表情をしている。


「あ…そうでしたね。兄の学校と、戦わなくてはならなく
なるんですね……」

「凪さん……?」

「あ、すみません。あの何でもないですから。あれ?そういえば
ちゃんがいませんね。何処行ってしまったのでしょうか」


折角お兄ちゃんにもちゃんが来てる事メールで送ったのに。
凪はケータイをしまいながら辺りを見回してみる。

なら売店で飲み物買ってくるって席立ちましたよ」


猿野は気づいてなかったのかと思いつつも説明する。



その頃戦いを前にしたセブンブリッジは?


ブパパ ブパパ〜♪

「あ、凪からメールだ」


自分のケータイを取り出して画面を開くと送信先は妹からのケータイ。


「うはっ凪見に来てくれてんだって〜」


子供のように騒ぐ剣菱にセブンブリッジの反応は冷たかった。


「フーーン良かったわねぇ〜〜。でも色々ご披露したいのは山々
でしょうけど今日もいつも通りでいくわ。一応敵なんですから」


紅印は鏡の前でお化粧を直しながら軽く話を流した。


「そんな〜。折角ちゃんも来てくれてるんだよ〜」


剣菱はさらに食い下がってみるが結果は変わらない。


「ならもっとじゃない。ちゃんの洞察力は甘く見たら
大怪我するわよ。惚れた相手でも野球では手加減しないわ」


お化粧セットを仕舞いながら剣菱を叱咤する紅印だが、今度は
パンプアップをずっと続けている東蘭風監督へと目を向けた。

テンポのある荒い息を出している老人がセブンブリッジ監督の東蘭風。

埼玉内で最年長監督でもある。


「アイヤーまた今日も凄いトレーニング量ネ。
老師あんまり無理するとポックリ逝くヨ」


さり気に恐ろしい単語を混ぜてワンタンが注意を呼びかける。

「そうですわ。ご自分が思うよりもお歳を召してらっしゃ
るんですから、血管でも切れたら事ですよ」


東蘭風はたれる汗も気にせずに運動を続ける。

「心配にゃぁ及ばん。わしの体中の筋肉という筋肉が
乳酸を欲しておる。それより、影州の姿が見えんの」

「あらホント…ねぇ剣ちゃん、今この会場にちゃんいるのよね

「うん。メールにビミョーに書いてあったよ、まさかさ〜」

「影州 現在所在地  確信」

「行ってくるわ!!」

「紅印も抜け駆けは禁止ネ〜!!」






そして、その頃のは…?

「影州さん選手控え室戻らなくていいんですか?」


売店の近いスタンドで立ち尽くす


「えー、それよりもうちょいちゃんと一緒にいたいのに」


そこで一緒にいるのはドクロマークが基調の影州。


「一応ありがとうございます。でもホント戻らないと試合始まっちゃいます」


案の定、影州はと共にいた。

ふぅ

小さなため息がの唇からもれた。


「お疲れ様です紅印さん」

「ありがとうちゃん」


軽く息を切らせている紅印が影州の後ろで怒りを露わにしている。


「こ〜らっ。ちょっと〜皆待ってるのよ〜影州」

「っげ!兄貴いつの間に!?」

「アンタがこないからずっと探し回ってたのよ!!
しかも何ちゃんに手出してるのよ!(大会中は抜け駆け禁止
って言ったでしょうが!!)」


「分かった!すぐいくから(だって折角会えたんだから
ちょっと話すくらいいいじゃねーか!!)」


双子でしか分からない会話を知らず、事の成り行きを観察する。

はどことなく同じ苦労を味わっている紅印に同情心が
生まれてきてしまう。

影州の胸倉掴んで凄む紅印尻目には腕時計の時間を確かめた。


「そろそろ試合開始時間迫ってきてますし、行かなくちゃ。
2人とも今日の試合頑張って下さいね」

「ええ楽しんでちょうだいね〜〜」


紅印はチュッと投げキッスでハートマークを飛ばし、
影州は紅印に片手で引きずられながら控え室に戻っていった。

「さーて、エース剣菱さんと中宮の双子バッテリーに鉄壁守備。
対するは一昨年まで県内NO2の江戸桜」


楽しまなくちゃ損なカードね。

はカバンを肩に掛けなおして十二支のいるベンチに
戻っていった。

















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