#47 集合






「え〜と、まず御柳君平気?


ワンタンに蹴りいれられて思ったよりダメージが
大きかったらしい御柳を見ては先に心配の声
をかけることにした。


「ってぇ!おい急に何してくんだよ似非チャイニーズ!!」

に手を出す者皆朕の敵アル。
そのくらいの罰受けて当然ネ」


高低差の激しい2人のにらみ合い。

何処となく後ろに龍と虎が見えてきそうである。


の忘れもんだぞ。ほら」


由太郎は小競り合いをしているワンタンと
御柳を無視してに救急用具入れを手渡した。


「そういえば忘れてたや…ありがとうユタ」


はそこでやっと気がついてそれを受け取った。


ちゃんもビミョーに忘れっぽいところあるんだ〜」

「剣菱さんそれは言わないで」


はちょっと恥ずかしそうに頬を赤らめる。

ホント、時々ポンって何か抜けるんだよねー私。


「やっぱり気(-?-)」


朱牡丹が不貞腐れた声を出して、
はそれの内容を聞いた。

「何がですか、朱牡丹さん」


ちゃんセブンブリッジは全員名前呼び気!!」


そこにいる全員が面食らった顔をした。


「名前呼びがいいんですか?」


朱牡丹はコクっとしっかり首を縦に振った。


「オラも名前呼びがいイング」

「俺も俺も」


屑桐は何も言わなかったがそっぽ向いているつもり
でチラチラとこちらを見るので同じようにして
欲しいのだろうと思った。

「じゃぁ無涯さんと録さんと白春さんとミヤ君で」

「なんで俺だけあだ名!?」

「同い年だから」


理由になってないとツッコミをしたい。


「あ、十二支の皆も此の侭ですから」


「俺は別に構わないけど」


猿野はそう言うがその他3人はどこか不服そうだ。


あんまり野球部ファンを刺激したくないしね。

ミヤ君のファンなんか十二支に乗り込んできたし。

本当の理由はこっち。


「では私も戻ります。皆さん今日は来て下さって
有難うございました」


は華武とセブンブリッジにお辞儀して十二支の元へと
小走りで走り、バスへと向かっていった。

その場に取り残されたのは3校の男共。


「村中魁」

屑桐は魁へと目線を向け、魁は屑桐を数メートル離れた先から
見据えた。


「何用か華武の主将殿よ」


「単刀直入に聞く。とお前達が兄妹だと
聞いたが、それは隠すべき事なのか?」

「屑さん知ってたング!?」

屑桐の確信した物言いに華武の3人は驚いてしまう。


「妹と弟が一度の家に上がっているからな。
表札が村中だったとは言っていた。

違う苗字を名乗っているのだから何かしらの事情が
あると思うが、対策を立てないと流石に周りが
五月蝿くなってくるぞ」


「そうだよね〜。ビミョーに色々大変
みたいだしちゃん」

剣菱が屑桐の忠告に賛同を示しながら会話に参加してきた。

ずり下がるシャツのネクタイはいつもと同じでも顔つきは
いつもよりも凛々しい。


「承知の上での事だ」


魁は、目をつむり気味に話始める。


「お主等がをどう思っているかは大体想像がつく。
の身を案じてくれるのは痛み入るが、おそらく
それらを考える暇すらなくなるだろう」


「……渇望した目だった」


屑桐は主語のない言葉を吐いた。


「うん。ビミョーに覚えのある目だったよね」


が、球場を見上げるあの目は……。

自分が持っていないものを求め、欲しがる目だ。


「今回が初めてではないのだ、あれは」

は時々壁にぶつかるからなぁ。でっかい壁にさ」


由太郎は自身の金色の髪をグシグシ掻き回す。


「拙者は・・・否、我らはそれを助ける事はできない。

は我らが持っていてが持っていないものを
欲しがっているのだからな」


解決を見出すのは本人でしかない。


「そうか。時間を割いてすまなかった。いくぞ」


屑桐はそれだけ言って後ろを振り向き、帰り道を歩いていく。

他の3人は何も言わないでそれについていった。


「俺らも帰ろうか〜」

「行くぞ由太郎」


3人の主将の名を持つ者達は別れていく。

1つ、1人の少女を心配する心を持って。













END




あとがき