#34 嵐そのものの男
『9番代打獅子川君。ここで秘密兵器の登場だ〜!!
十二支最後の大勝負をしかけてきました〜〜!!!』
アナウンスにも力がこもる。
この男が塁に進まなければ、十二支はもう打つ手がない。
「この中で一番小町と相性がいいのは獅子川先輩なんだよね。
武軍戦は面白メガネ使ってまで球のブレを作って対応したらしいし」
私は病院行ってたから見てないけど。
「メッチャ本気だ…シシカバ先輩」
「うん、そうね」
猿野の独白のような台詞に賛同する。
「かくし芸大会のマルシアくらいマジモードだな」
「マルシアって誰!?」
あんたはこんな時もふざけるの!?
打席に入って投球を待ち構える獅子川に由太郎が話しかけてきた。
「おめぇか〜。あうとろーのシシカワって」
獅子川はピクっと反応を示し、ここでも西部劇のガンマンを演じる。
「あん?俺もずいぶんと顔が知られちまってんな。
まッたお尋ね者の俺様の賞金首ても上がッちまッたか?」
「おめぇ面白ぇ奴だな……」
どことなく由太郎は呆れ顔でもある。
「前十二支の試合見に行ったんだ。すげー目立ってたから
イヤでも目に入ったよ。そんでおめぇの弱点もバッチリ
見させてもらったぞ」
不適に笑いかける由太郎に対し獅子川の米神を痙攣させた。
「あ〜ん?弱点だって?笑わせるぜこの
アウトロースターの獅子川に弱点など…」
あるね。でっかいのが。
「ずっと獅子川先輩の存在自体2人に話さない様にしてたのに、
明嬢戦見られちゃったからなー」
は顔をしかめて邪魔な前髪を顔から払った。
ここは獅子川先輩の成長に期待するよ。
魁が一球目を投げた。球種はど真ん中ストレート!!
「おめぇの弱点はここだ」
「なんでそんな甘いボール投げてやるんだよ!?」
黒撰からは非難じみた声が上がる。
ちがうんだ。こいつだけはこっちのがいいはずなんだ。
ミットを真ん中に固定して由太郎は球を待ち構える。
どッいつもこいつもこれだからな…俺様のポリシー
を打てねぇからだと勘違いした困り者ばかりだぜ。
「俺の銃射撃は世界一でなくちゃいけねぇんだ。
そう、どんな的も外ッさねぇ。それはバッティング
でも同じ事ッ!俺様を見くびるんじゃねぇー!!」
俺流 "ビックマグナム44"
ズギュウゥン ガシャァン
え!?打球音も銃声に変化!?それはともかく掠ったよ!
「獅子川君は元々センスは持ってるんだ。
その気になって練習すれは直球なんてすぐさ」
「だったらもうちょっと練習させるべきでした」
後悔先に立たずとはまさにこの事ですよ。
でもこれで魁兄は小町を投げざる得なくなった。
かなり疲れてきてるし、打てる可能性は高くなってる。
でも、魁兄無理するだろうな、必ず。
そして2球目、待望の小町が投げられた。
やはり、分裂は減ってる!!
「こいッつが小町かい!オッレ様にゃうってつけの荒くれ球だな!!」
俺流 アウトロー打法
グワキィィ
「ファール!」
こいつ、兄ちゃんの球を…。
由太郎が顔を険しくさせる。
『なんと獅子川くんいきなり小町に当てた〜!!』
「さすが獅子川先輩!」「次は一発だ〜!!」
十二支は息を吹き返してきた。
そして、獅子川は粘りに粘りを敵味方関係なく見せ付けていく。
「ファール!」「ファール!」「ファール!」
『ファール!!これで6球続けて獅子川君
小町にファールで食らいついています』
「やるな、お主……我が小町の前にここまで
喰らいつく男は初めてだ……」
「てッめぇもアウトローないい球持ッてやがる。
気に入ったぜ」
2人ともが疲れを見せている。
それでも諦めはまったくない。
親父殿率いる我が黒撰がこの様な場所で
朽ち果ててはならぬのだ!!
渾身の一投!!
小町の分裂数は今までとは比べ物にならない。
「おおーッ!?ここに来てやりッやがる!
男の一騎打ち受けて立つぜッ!!うらああ!!!」
こちらも渾身のフルスイング!!
しかし、バットは空を切った。
「…む、無ね「じゃなくて、獅子川先輩走って!!」
確かに三振、しかし、由太郎が球を捕りそこなった。
「やば……」
捕れなかった!今の兄ちゃんの球すごすぎて。
獅子川はの一喝を受けてすぐさま振り逃げする。
が、ここでアクシデント、スパイクの紐を踏んづけた。
「わ〜こける〜!!」「なんでこんな時に!!」
由太郎がチャンスとばかりにファーストに送球。
獅子川はそのまま顔面からスライディング!
ファーストの烏兎がキャッチしようとする。しかし。
うわっス、スパイクが邪魔で…。
ちょうどスパイクと球が重なって捕りづらくなった。
バコッっと烏兎の頬にスパイクが当たり、
球がグラフに当たって地面をはねた。
「セ、セーフ!!」
ランナー一塁。
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