#32 動乱
ツーアウトからまさかの同点劇。
これには驚きもすべて喜びに変えられてしまう。
「猿野でかした〜愛してるぞ〜!!」「晩飯おごってやるぜ〜!!」
「良かったな凪、あのバカやりやがったぜ!!」
「ええ!本当に良かった…」
「今の勝負に絶対的な攻略法はなかった。
大博打に勝ったな…てんごく君」
「ワハハハ 見たか新鮮組共〜!これが俺様の超高校級
のバッティングじゃ〜!!」
猿野はいつもの勢いでベンチに凱旋報告しに来た。
はそのハシャぎ様には一切口を挟もうとはしない。
「よくギリギリまで踏ん張れたもんだよ。
あれは覇竹使えるお猿君だけができる芸当だね」
「おうよ!このチャンス作ってくれたのも俺が打てたのも
蛇神先輩のおかげだ。なんせ俺はさっきご本尊に直々
男の生き様つーもんを教わってきたからな」
「蛇神先輩の語る男の生き様ね、ちょっと聞いてみたいかも」
「男なら大も小で流す心意気でゆくがよいってな」
「明らかに捏造説法じゃないっすか!!」
「きっと全然関係ないよ!!」
そんな生き様は嫌!!
「あっ平泉先輩と牛尾先輩お疲れ様です。ナイスランでした」
は2人に駆け寄ってタオルを渡した。
特に牛尾はヘッドスライディングで顔にまで土がついてしまっている。
「ありがとう君」「サンキューな」
2人はそれを快く受け取りベンチに座った。
その後、虎鉄がヒットを打つが生還には至らず、
司馬で三振を取られて逆転にはいたらなかった。
そして8回の裏、黒撰の攻撃へと移っていく。
「魁兄、随分疲れてきた気がする。沖君の早めの降板と
ここまで小町を使いまくってきたからその所為ね」
9回でなんとかもう1点とらないとだから
そこを突ければ下位打線でもいけなくはない。
この回は鹿目先輩がなんとしても0で抑えて
もらわないと。
しかし、私はまだ甘かった。
ゴウンッ ドズゥゥゥ
最初の打者、由太郎。
彼は一発で魔球XXを打ち砕き、
ファーストが反応できない打球スピードで
ポールを折ってしまった。
『な…なな…なんとポールを叩き折ってしまった〜!!!
ソロホームラン!!値千金の勝ち越し弾が飛び出した〜!!』
「魔球XX……破れたり」
魁は細く笑んだ。
「うはーすっげーよ!!ポールをへし折ったぞ!!」
「いいぞ由太郎!これで黒撰の勝利は決まったぜ〜!!」
「うそだろぉ…こんなのってねぇよ…」
「あんなに必死こいてようやく追いついたってのに…」
黒撰の喜びはひとしお。
それとは逆に十二支は沈黙を余儀なくされる。
「ユタの奴、小町のヒント生かしたのか。
左右分裂してもキャッチャー手前では1つになってる。
覇竹ならではの対応能力よ…」
は額を手に乗せて自身の兄弟の能力の高さに
脱帽せざる得なかった。
これは、私が何しても防ぎようがなかった。
その後、由太郎の痛恨の一撃で制球が乱れてしまう鹿目。
それでもバックの踏ん張りによって何とか失点を
1点で抑える。
8回裏 6−5
黒撰優勢。
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