#28 蛇神
「すげーな…そのカッコ。何すんだ?
気合入ってんのだけはわかったけどさ」
でも何ではあんなに嫌がってたんだ?
由太郎は頭を悩ませるが明確で納得のいく
答えは返ってこなかった。
「プレイ!」
審判から開始の合図が出た。
経帷子……どういうつもりか知らぬが拙者の球は打てぬぞ。
魁が振りかぶって、投げた。
手から放たれた球は無数に数を増やして打席へと向かってくる、
六道眼
蛇神の目が開眼した。
色が黒と白のみで反転した視界。
小町の分裂は最高潮になった後、
急速に数を落としていく。
見えた…そのカラクリ!
ズッパァァン
「ストライ〜クワン!!」
球は由太郎のミットに収まった。
「どした?そんな目ぇおっぴろげて。んで何か見えたのか?」
「一見完全無敵に見えても捕手が捕れる球ならば
打者も打てる球である…それは自明の理」
蛇神は由太郎へと目線を向けず、
独白しているように見える。
「問題は小町の場合もっとも分裂現象を被っているのが
打者のみである点也。小町とは、超高速のナックルボール。
打者の数M手前でその球ブレは始まり1個が2個、2個が
4個と打者に到達する頃には32個まで分裂しホームベース上を
通過した辺りから急速にブレは衰えていく。
そして捕手であるお主に到達する頃
32個あった球は再び1つに戻るのだ」
「でも、問題はその最後」
ベンチである私の位置からじゃ分からない。
「今の六道眼により32個に見えた球も2個に
見える所まで狙いが絞れたぞ」
すげぇ…俺でもまだ完璧に打てねえ小町の仕組みを…
やっぱり、変でもが認めただけはあるって事か。
「いや、ホントあそこまで魁兄と似てる人初めて見たよ。
蛇神先輩っていう人。十二支でショートレギュラー。
父さんのポジションなんだよね、昔は」
家での何気ない会話。
村中家で知っている蛇神の情報はそれだけ。
「現在、司さんのポジションを預かる人間か。
それに見合うだけの力量はあるな」
村中監督も、魁も由太郎も警戒心を一層強めた。
「うおおいいぞ〜蛇神さーん!!」
「いける!これなら打てるぞ〜!!」
十二支の応援により一層力がこもる。
魁は2球目を投げた。
再び六道眼が発動される。
もはや小町恐るるに足らぬ!!
さあ、ただ1つの真の姿を我眼前に晒すのだ。
蛇神の目に幾重にも分身した球は次第に数を減らしている。
しかし、球は1つにならなかった。
ドッパアァァン
「ストライクツー!!」
六道眼に追えなかった。
球は最後まで2つ残っていた。
最後まで見切れなかった事で蛇神の目は
驚愕の感情によって開かれる。
「ここまで自力で見抜いたのはおめぇ
が初めてだ。けどよ、最後だけハズレだな。
この球はな俺が捕る時もまだ2個のままなんだ。
だから最後は俺もギリギリの反射神経で捕るしかねぇんだよ」
由太郎はしてやったりと言った表情をしている。
「おい初めてだぜ。蛇神の六道眼が通じないなんてよ」
「SHIT…!蛇神さんで攻略できねぇんじゃもう打つ手がNeぇ…」
「俺は信じねーぞ!ナムアミ先輩の六道眼は何だって
見抜いちまうんだ!!」
十二支陣には動揺が走る。
NEXT