#26 回転木馬
『1番センター兎丸君』
「よぉ〜し、行ってきます!絶対ランナーに出て
兄ちゃん達につなぐからね〜!!」
「牛尾先輩、確かめたい事があるんですけど、
もしかして魁兄の球を握っている手って……」
「っ!そうか、兎丸君話がある」
牛尾はの質問で気づき、
兎丸を呼び寄せてそれを教える。
「てな訳で、ウサギ君試してみて」
「うん分かったよちゃん、キャプテン」
そして兎丸は打席に入った。
「何だ皆で大声上げて、兄ちゃんの球の
攻略法でも見つかったか?」
「べー、教えないよーだ」
由太郎と兎丸がちょっとした言い合いをして、
魁が振りかぶった。
来る…!
「マサカリ投法の弱点。それは大きく振りかぶる事に
よって球の握りが明白になる事」
マサカリ投法そのものが球威を最優先
にして生み出された投法。
その中で犠牲にしたものだ。
直球!!狙い通りだ!!
球が放たれた。
そして、すぐに兎丸はバットを振りだした。
「ちょっと待て!早すぎだろ!?」「何でもう振ってんだ!?」
これはあくまでも発動前の予備動作さ。
「もういっちょ!!」
軸の足が深く地面に弧を描くようにめり込む。
「そうか!遠心力を最大限に活かすために
いっそのこと一回転してしまうのか!」
「飛んでけ〜〜〜!!!"回転木馬"」
グワキィィィ
ライナー性の低い当たり!!
『ああっとこれはショートの真正面!!
ショート緋慈華汰君
今度はどう捌くのか!?』
緋慈華汰が突っ込んできた。
「素晴らしき発想そして行動力だ。まさにメリーゴーランド
のような打法!だが君は唯一の過ちを犯したね。
それは私ことテニス界の至宝であり神童と謳われ
日々賛美と賞賛……そう私はコートに咲く1輪の薔薇!
命短し恋せよ乙女達!
今日の恋も夕べには色褪せる
昨日の夢も明日には忘れ去る
さあ乱れ咲け たとえ枯れ落ちる運命でも…
"ローズカーペット"」
「遂にポエム入った〜〜!!」
そのままスライディングキャッチと
思われたが、ファンブル!
「うっし、このまま内野安打」
が、今度は小饂飩が後ろに待ち構えていた。
「そうはいかのピー玉よ!!"八双跳び"」
「アウト〜!!」
「2枚守備か、飛んでいった方向が悪かったね」
1アウトランナーなし。
「猪里先輩ごめん、回転する事に集中しすぎて
打つ方向まで決められなかったよ」
「まあよかよ初めて打ったっちゃろ。
上げんうち方兎丸しかできんよ。
飛んだ方向が悪かっただけたい。
それに俺もあの剛球に泣かされん
ごと打法考えとうっちゃん」
今度は2番の猪里が打席に入った。
「あれ、蛇神先輩は?」
次の打者なのに姿が見えない蛇神を探す。
「彼なら用意があるからって中に入っていったよ」
今度は一体何をするつもりなんだろう。
……ビックリするのは覚悟しておこう。
魁が振りかぶって、投げた。
直球!!
奴の玉はちかっぱ重いけん。
こういくしかなかろーや。
ダンッ
猪里は前に出した足を力強く地面に押し付けた。
「これで、どうや〜〜!!?」
あれはウサギ君のダッシュ打法と同じ原理!?
「そこや〜!!」
打った!
方向はまたしても三遊間、ショート前!
そして、ショート緋慈華汰さんの前で高くバウンドした。
イレギュラーバウンド、猪里先輩お得意"選地眼"。
「緋慈華汰〜あれだ!馬になれ!!」
「馬!?」
小饂飩の単語に疑問符をつける。
「何度も言わせんなよ!!ここは通さねえってな!!
超・絶・最・高・ちょ〜!!"十六双跳び"」
そして急に靴を脱ぎ始める小饂飩さんは
緋慈華汰さんの肩を使って高くジャンプキャッチ!
「喰らえや〜〜!!」
ファースト烏兎さんに送球し…。
「アウト〜!!」
『十二支8回の攻撃も遂にツーアウトに追い込まれました〜!
もはや後がありません!!』
「しかもランナーなしで2点差を埋めるには
最低1人はランナー出して置かないと…
まだ蛇神先輩来ないんですか?!」
あの人は何気に時間にルーズなの?
は中に入って呼びに行こうとドアノブ
に手をかけるが。
「君、今回はベンチで待っていてくれないか?」
牛尾に手首を掴まれ、止められた。
「……何か、あるんですか?」
「ここは、僕が行きたいんだ」
そして牛尾も中に入っていった。
一抹の不安が、の心中に渦巻く。
それは、試合全体の焦りなのか、はたまた別のものなのか、
今のには判別を付ける事はできなかった。
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