#04 観戦者



場面は変わってスタンドの方では埼玉2強の7Bと華武が
各々が陣取った場所からグラウンドを眺めていた。


「へぇ〜。あの金髪のクソガキと赤髪のハリネズミ頭が
の兄貴か。随分と似てねぇ兄弟だな」


華武の座るベンチではスナック菓子をつつきながら
御柳が整列している黒撰の顔ぶれとバックスクリーンの
名前を当てはめて村中の苗字を持つ2人を確かめた。


「まだ噂の段階だべ。でも、その可能性が高いング」


朱牡丹を挟んで久芒が鼻をすすりながら御柳の独白に
肯定の意を示した。



の家がテレビで映された時、仲間内の1人が。

「あそこって元プロ野球選手の村中大打者の家じゃね?」

そう言ったのだ。


ネット内の掲示板でも類似した噂が横行していた。


サラブレットと言うことなのか。

の女性とは思えない程の野球のレベルの高さは
そこからかと納得する者も多くいた。


「でも苗字が違う気だけどね(^_^;)」


御柳と同じくパリパリ菓子を食べながら朱牡丹も
話の輪の中に入ってきた。


「屑桐さんは何か知ってるんすか?」


御柳が後ろのベンチに腰掛けて目をつぶる屑桐を
強引に輪の中に入れた。


「さあな。必要があればの方から言うだろう。
今は試合に集中しろ」


血の助けがあったとしても、それを呼び起こすための
努力をが怠らなかった事実は変わりはしない。

努力故に強者になる。

その事実だけで十分だと屑桐は素っ気無く言葉を返して
その話を打ち切らせた。


「へ〜い」


御柳は気の抜けた返事を返してガムを口の中に入れた。









一方、セブンブリッジの側では。


「ねぇ、剣ちゃん。ちゃん大丈夫かしら」


紅印は剣菱の隣に座って剣菱の横顔を盗み観る。


「ん〜?どうして〜」


とぼけた調子の声に微量の不快を感じたがそれを顔に
出さないで紅印は話を続けた。


「だって、村中大打者の娘ってことは兄妹で敵対するってことよ?」


セブンブリッジの方では例の噂が真実であると知っていた。

凪がいるのだからそこから流れたのだろうと簡単に想像がつく。


ちゃんがその狭間で悩んでるとか考えないの?

あなただって十二支が勝ち上がれば人事じゃないわよ」


この試合で十二支が勝ち、準決勝まで上ってくれば
剣菱も妹の凪と敵対する構図に組み込まれてしまうのだ。

言ってものんびりしている剣菱に紅印は顔を顰める。


「う〜ん。俺達の方はビミョーにわかんないけど、

ちゃんは平気でしょ。凪とちゃんとじゃ試合
そのものの関わる心意気が違うからさ〜」


紅印の機嫌が悪くなっている事を察して慌てて
言い訳じみた説明を話し始める。


「理解不能。説明補充 請求」


口からチュパチャプスを取り出してから霧咲は剣菱の
言い分がまだ説明不足だと文句をつける。


「そうアル。剣菱妹とと何が違うのカ?」

ワンタンも霧咲の言い分の援護に回った。

お互い妹でマネージャーで兄と敵対する。

その構図の中になんの違いがあるというのだろう。


「だってさ〜。ちゃんは凪よりもビミョーに
沢山の試合をしてきたし、観てきたじゃん〜。

だからさ、そういう割り切り方を知ってるんだよ。

ちゃんは初めて会った時の俺との勝負ですら
さっき話していた少女かと疑わしくなる位の
気合とか姿勢とか、色んなものが変貌してたしねー。

ちゃんは、試合への取り組みがどこまでも一生懸命で
純粋で、自分の怠惰を決して許さない。

試合の一点においてちゃんは一切の迷いを捨てちゃうよ」


だからこそ、強い。女と男というハンデを超えてしまう程に。

肌で感じ、実感してるから知る事の出来たちゃん自身。

その事を知っているのは7Bではビミョーに俺だけ。


ちゃんには兄弟でも真剣な試合ができる事の
方が嬉しいかもしれないし、もしかしたら自分が
出たいってビミョーに歯がゆく思ってるかもよ?」


ちゃんも凪も優しいし、状況は似てるかもだけど…。



「凪は、まだ心がついていかないかもしれないから
そっちの方がビミョーに心配なんだよね〜」


この試合で、凪のその辺が変わるといいんだけどね〜。

それぞれの思惑を胸に、試合の最終準備が整っていく。


















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