#21 蘇り




合宿最終日。

荷物をまとめて棟梁の小屋を後にする。


「こきりちゃん、1週間本当にありがとう」

「お姉ちゃんも、頑張りました」

「そうだね、一生懸命した。
これで結果がどうなっても悔いは少なくてすむ。
これからも棟梁と仲良くね」


こきりの頭に手を置いて撫でる。


「はい」


こきりも嬉しそうに返事を返してくれた。


島の裏側の球場。

そこでは脱落者達が生き残り達を今か今かと待っていた。


「監督、生き残りは来ますよね」

「何今更な事言ってんだ。大丈夫大丈夫って
いってたのはだろ」


監督も予定通りに途中から参加し、そして、同じく船を待つ。


「それでも、カタチになってないと、不安なんですよ」

「まぁな、だが、そのカタチが来た」


大海原の中に、舟が2隻。彼等が、やってきた。


「そうですね。さて、下に降りますか」


崖の上からの眺めは良かった。

そして、部員全員が揃うその場面を見に、は下へと降りた。



「あ゛〜〜もうはっきりしてくれ!!
今更こんな所見せられてだから何だってんだ!?」


降りてくると、お猿君の声が島中に響いていた。


「マジでこのまま予選に戻っちまうなら、
いっそ今ここで野球部なんか辞めてやらぁ!!!!」


「また、辞めるのかい?
落とされた部員達もそれじゃ救われないな」


猿野の怒りを止めたのは最近聞いていない頼もしい声。

生き残り部員は目を見開いて声のする方向を振り返る。

そこには、もう帰ってこないはずの脱落した
部員達が勢ぞろいしていた。


「皆待たせたね。今までよく戦ってきれくれた」


牛尾は目を潤ませ、激励の言葉を漏らす。


「我等が2人、黄泉の国より舞い戻ってきた」


蛇神も包帯は巻いているものの元気そうな姿で
その場に立っている。


「皆!僕達ね帰らなくてよくなったんだよ!!」


兎丸は声を弾ませ、生き残り部員に駆け寄る。


「あれから我々はこの場所で各試験に応じた
補完特訓があったのです。ご連絡できれば良かったのですが」


犬飼も辰羅川の姿を見て、声に出せない喜びを感じてるようだ。


「さ、猿野くん…僕達また…一緒に野球できそうっすよ」


震えた声で、子津は猿野へと声をかける。


「ね、子津……キャプテン、み、皆……
わあぁぁ良かった!!本当に良かった!!!」

「わ、っちょっと…猿野君苦しいすよ」


感激のあまり、そのまま猿野は子津へと抱きつく。

兎丸もそれにつられて猿野へと抱きついている。

それぞれが、失ったはずの仲間との再会を喜び、
笑いあっている。


「良かった……」


これだから、私はこの人達と一緒に目指そうと思ったんだ。


「ほら、も行くぞ」


監督はの背中を押して、前へと進み出た。


「よう、お前等合流したかお疲れさん。
どうだ?一度仲間を失ってみた感想は……」


「監督、それって凄く意地の悪い質問……」

「「「「監督と!?」」」」


「一体どうなってるんですかここは!?」
「結局俺達、今まで通り皆でやれるんすか!?」


部員は展開について行けずに監督とに質問攻めを浴びせる。


「そうだよ。私は全員の裏のお世話と脱落組みの
弱点克服メニューの手伝いしてたから。合宿の真意は、
それぞれの御想像にお任せで」


「早い話除籍っつーのは俺のハッタリだ。どうだ?
さぞ死にもの狂いで特訓できたんじゃないのか?」


その話を聞いた部員達は監督をメッタメタにリンチした。


君、脱落組には話したんだろう?」


「ええ、口止めは一応しましたけど、話す必要性は
監督も私も感じてないですから。
さて、帰りましょうか。明日は黒撰との試合です」


これは、きっと私にとっても大きな試合になる。

そして、達は猿野・子津・犬飼・辰羅川の
特別特訓組をのこして、極楽島を後にした。






















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