#16 早朝
まだ朝日も昇りきらない早朝。
・こきり・棟梁は部員達よりも早くに起き、
朝の用意に取り掛かる。
こきり・棟梁は生き残り部員達を起しに、
は脱落組み起しと朝ご飯の仕度。
遠くからドラの音が聞こえてきた。それぞれがあの音に
仰天して目を覚ましている事だろう。
は脱落4名に桶を渡して水汲みに行かせ、
その間にご飯を研いで炊いていく。途中からこきりも加わり
お味噌汁と魚をドンドン焼いていく。
「こきりちゃん。炊き終わったご飯運んじゃって」
「おみそ汁もできたです」
「あいさー、それも一緒に。よそるのは
セルフサービスにしちゃっていいから」
厨房はすでに戦場のような忙しさに見舞われていた。
あっちこっちを行きかい、瓶の水が満杯になった者の
卵から玉子焼きを焼いていく。
「うし。これで全員分終わり!!」
「おつかれさんでした」
こきりは途中から外へと料理を運ぶウェイトレスになっていた。
「脱落組みのご飯は私がするからこきりちゃんは
あいつ等の世話を宜しくね。多めにご飯炊いといたから
おかわりは受け付けてやってね」
今までの疲れを取り戻すように勢い良く釜の飯は減るだろう。
朝の準備運動は終了し、次の修練の準備を終えると、
第二修練の脱落者を迎えた。
1年は野木。2年は守屋・鈴木。3年は福崎・武藤の計5名。
昨日と同じく説明しながら、道を進んでいく。
「じゃぁ、はその間ずっと隠れて全員の世話をするのかよ」
と、野木が説明を終えたに聞き返す。
「そうだよ。それを条件に脱落組みの生命線を繋いで
貰ったんだから。おそらくですけど、もう少しすると、
牛尾先輩と蛇神先輩も脱落組みと一緒に行動するでしょう」
「はぁ!?何であの2人が俺等と一緒に!?」
今度は武藤が声を裏返してその真意を問う。
「2人はすでにこの島を知ってしまっているからです。
それに、退院直後にあれらをさせるのは私は大反対ですから」
んなことしたらまた次の試合は出場できなくなってしまう。
「それもそうだ」
その説明で納得する一同。
「着きました。ここが、忘れ去られた栄光のグラウンドです」
森の中を進んで、広い場所へと出ると、昨日の綱と同じく
古びた野球設備が5人とを向えた。
「これが、20年前の黄金時代に使われたもの」
「ここは十二支レギュラー以外は使う事を許されない場所です。
さて、5人とも集まって下さい。これから渡す弱点克服メニュー
がここでの修練です。私はあちこち行き来しなくてはいけないので
それぞれが協力してステップを踏んでください」
それぞれ、何枚もの紙をホッチキスで止め、それぞれに手渡す。
「これって、俺のデータか?随分細かいな」
「今までの練習メニューまで載ってるぞ」
渡された紙を大まかに見ても、良く調べられているのが
良く分かるし、自分の長所短所、筋力数値まで書いてある。
「これって、が作ったのか?」
「私達ですよ。60人強もの部員全部は1人じゃ無理です。
女子マネ全員がいつもデータをとって、それを今回皆さんに
見せただけです」
データを取るのは人海作戦が楽だし。
だって、1人で60人強を見切れるほど、時間も余裕もない。
それでも、協力してくれる人達がいるからこその成果なのだ。
「マネージャーも俺達のために頑張ってくれてるんだな」
「俺等も頑張らなくちゃだな」
どこかじーんとするものを感じている部員達。
「その意気で特訓メニューいってみましょう!!
野木君・鈴木先輩は腕の強化メニューを、
守屋先輩・福沢先輩は吉良先輩と合流して同じものを
武藤先輩は広川先輩・津久井先輩・吉井先輩が川で
特訓してるのでそちらに」
それぞれに指示を出していく。それは夜が深け、
こきりが来るまで没頭していた。
NEXT