#08 大切な預かりもの
魁と猿野、そしてキャッチャーの由太郎が位置に着いた。
「チョンマゲ小僧が時計ぶっ壊しちまったからな。
俺様は軽〜〜く校舎越えさせてもらうぜ」
「勝負は3球。先ほどの由太郎と同上件で宜しいな」
両者とも準備は万端。でも……。
「お猿君。蛇神先輩のバットを使うのは止めておいた方がいいよ」
「は?何言ってんだ。もうとっくに
勝負は始まってんだ。口出しすんなや」
「の言うとおりだぞ。それ大事なやつなんだろ?
メッチャ軽い木で出来てんだし、ここで使うには勿体ないよ」
由太郎もの意見を援護する。
「ゴチャゴチャ五月蝿せえな。テメーの鬼金棒のがよっぽど使えねーよ」
聞く耳持たず。は諦めのため息を吐く。
「そのバットに何かあったらもうお猿君の所為だからね。
私はしっかり忠告したよ」
そう言って、バッターボックスから離れて皆の元に行く。
「いけ〜猿野!!」「十二支の力見せてやれ〜!!」
周りの応援に力が入る。時計の仕返しにこちらも見くびられない
ように力を知らしめたいのが本音だろう。
「さん。何故あのバットを使うなと?」
意味が分からないと辰羅川の質問が入る。
「私の黒闇天が何で金属バットなのか、理由は分かる?」
は質問に質問を返す。
「(お義兄さんに関係があるの?)」
後ろに立っていた司馬が代わりに疑問系で答える。
「ええ。こう言っちゃ何だけど、別に木製でも
普通の練習や試合なら全然構わないのよ。でも…」
魁が構えた。そして、尋常ではない程足が持ち上がる。
「え?あれは!?」「足が高い!!凄い振りかぶりだよ!!」
「あの投法は……」
「魁兄の球は違う。『マサカリ投法』あれから生み出される
力は尋常とはかけ離れている」
投げられた。
球は光のように伸び…
ズドオォォン
と凄まじい音を鳴らして由太郎の構えるミットに収まった。
「ストライ〜〜ク!!」
「兄ちゃんの球は速いだけじゃねーぞ〜〜」
2球目。
ギイィン
何とか当てた。
「ふぁ、ファール!」
「グッ…」
猿野は手から体中に伝わり感じる衝撃に嗚咽を漏らす。
「あの球を打つには、木製じゃすぐに折れてしまう。
だからこそ黒闇天は金属バットなのよ。
この勝負であのバットが普通より傷んでしまうのは確実なの」
魁兄の球は……高校生のレベルを何段も越えている。
私が屑桐さんや剣菱さんの球が打てたのも魁兄の球を打っていたから。
これにて終局……。
高く足が掲げられ、投げた。
大気中の風を押しのけ、球は進みいく。
来た!!
ガバッ
「きた〜一本足打法だ!」「そのままかっ飛ばせ〜〜!」
「うるああぁぁぁ」
球はバットの根っこへと向う。
「お猿君、駄目!!」
それでは折れてしまう!!
カッ
当たったが、ビキビキと音が鳴り、球はバットへと
めり込んでいく。
バキイィッ
蛇神のバットが、折れた。
「だから言ったのに……兄ちゃんの球は鉛のように重いんだよ。
せっかく当てたのに残念だけど、この勝負兄ちゃんの勝ちだよ」
魁が打ち損ねた球を捕った。
「アウト〜〜!!!」
終局。
NEXT