#05  伝説の終幕




「監督、なんてこんな勝負受けたのだ!?」


挑戦を受けた真意の測れない鹿目は監督へと突っ掛かる。


とは違って、由太郎に会うのは奴が中学の時以来だ。
その時すでに中学生のレベルを遥かに越える大器の片鱗を示していた。

あいつ等をずっと近くで見ていたは奴が伝説に挑戦した時、
新たにそれは塗り替えられると絶対的な確信を持っていたし、
本当の意味で伝説の遺伝子を継いだ奴の実力を見てみんとな」


いつもの気の抜けた表情とは真逆の真剣な顔つき。

監督、否、羊谷は彼等の実力の片鱗をこの中で唯一知る者。



由太郎はバッターボックスに立って目が真剣になる。
足を開き、不恰好な姿勢で球を待ち構えた。


「何だあの妙な構えは!?」「ふざけてんのか!?」


不恰好に股を開いて立つ姿は癇に障るものを感じる者も
少なくはないようだ。


「さー始めっか」


その表情はの試合中の雰囲気と似通ったものを感じさせた。


「由太郎め…見学だけと言ったものを」


後で親父殿との怒りを喰らっても知らんぞ。


それでも勝負を止めようとは微塵も考えない魁。


「犬飼!!見せてやれ!」「テメーの剛速球を!!」


犬飼が振りかぶって、投げた!

ドコォォン


「ストライーーク!!」


「うっはっスッゲー!!やっぱスタンドで見るより断然
走ってんな〜〜!!」



「いいからとっとと振れ。後2球だぞ」


球をキャッチし、犬飼はカウントを入れる。


「オッケ〜じゃ そっちもじらさねーで
あのカットボール来てくれよ!!」


然様…カットボールこそがこのピッチャーの

ウィニングショットであろうな。


魁は黙って試合を見つめる。先ほど駆ら無口な事から
この試合に口出しする気は更々ないと分かる。



そんなに言うならくれてやる。


犬飼が2球目を投げた。

球種は由太郎の望み通りに蛟竜。

グワンと打席の手前で本来の球道から落ちた。

が、由太郎はそのままバットの根っこで打ちにいった。


「いっちゃえ〜〜〜っ!!」


ギイィィン



球は高く高く飛んでいく。



只、一点を目指して……。



時代は止まらない。



記録は塗り替えられる為にある。


どんな伝説もいつの日か必ず……




ガコオォ




球が、時計に突き刺さった。



それから数コンマの沈黙後。


ガシャッ


時計が校舎から外れた。


落ちる数秒が長く感じる。



ガシャアァァン




伝説は……必ず新時代の強者に破られる。


十二支の伝説が終わりを告げた。


















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