#01 覚悟






明嬢との2回戦は順調に勝ち進み、

そう……いよいよ黒撰との試合が1週間後となってしまった。


「監督達は先に戻ってて下さい。私は牛尾先輩と蛇神先輩の
お見舞いに行ってから戻ります」

「ああ、俺等は昼飯食ってから戻る」






と忍とも分かれる。

「今日はアリガト」


それだけを言うだけでも照れくさい。


「まぁ、アタシはあんたの相棒ですからね」

「また会おう」

「もちろん」





球場を出て、他の皆と別れ、病院行きのバスに乗り込んだ。

バスの窓から見える景色が移り変わる中、は物思いに耽る。


包み隠さず言えば、今の十二支で黒撰に勝つのは限りなく0に近い。


「次の試合……十二支の夏が終ってしまう」


まだ、彼等と夢を追いたい。


でも、魁兄やユタの夏も、そこで決まる。


「もう、分かってた事なのに……どっちとも負けて欲しくない」


私はどっちもどれだけ上に行くために頑張ってきたのか知っている。

努力して負けるのは悔しくないなんて私は思わない。

努力して負けて悔しくなるのが当たり前だと思う。

負けるのは辛い。

でも、勝敗を分かつからこそ試合は白熱し、楽しくなるのだ。


彼等の試合が白熱したものになるのを考えると、

とても心待ちにする自分もいる。

 


パラドックス。


食い違い。


矛盾。




「私は見守るだけしか出来ないのに……」


ソフトでも、六龍とJSのメンバーと戦った事もある。

とても、楽しい一時だった。

私が野球やソフトで求めるものはそこにあった。


強い、自分の認められる者達と競う。


手加減や言い訳は通用しない。


潔い熱い試合。


彼らにもそれを求めてもいいのだろうか。


「納得できる結果でありますように」


願うのはその一点のみ。


私は、自分の今の仲間、十二支を応援する。


それでも、黒撰の負けを願うのは嫌だ。


私は見届けて、その過程、結果すべてを受け入れるのが私の役割なんだ。




バスのアナウンスが次の停車場所を告げる。

私はイスの側にあるボタンを押して降りる事を知らせた。


『次、止まります。御乗車有難うございました』



は苦渋に満ちた顔を治すため、目を閉じ、深呼吸を数回する。


精神を無へと落とす。

シンと、心が静まり返った所で目を開くと、丁度バスが止まる所だった。



チャリン チャリン



運転手の隣にある改札にお金を入れ、バスから降りた。

運転手が見た顔は、凛とした表情が心に残る

器量の良い顔立ちの少女だった。



負けた時の悔しさは今までの努力に比例する。 

それでも、どちらとも負け惜しみをしないで欲しい。


1週間後の試合は……

私でもどうなるか本当の所は分からないから。




















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