#18 試合終了





試合は投手戦じみたものへと変化していった。


「やはりあの時簡単に手の内を見せていた訳がありませんよね…」


辰羅川の言葉には頷き返した。


「そうね。2つのスライダーは攻略完了まじかだったのに、
もう1つ加わると直球合わせて4選択だからもっと打ち難いよ」


「なぁに、なんて事はねぇSa」


横からしゃしゃり出た虎鉄。何か策でもあるのだろうか。


「キザトラ先輩!?」


「まったくみんな難しく考え過ぎだZe。
見つけてやったZe……奴の隙をNa」


「えっマジですか!?」


そんなに早く見つけるとは思いもよらず猿野は聞き返す。


「あいつもちったぁわかってきたみてーだが…人間どんだけ変わったつもり
になっても、根っこの部分はそうそう変われねぇもんSa」


意味深な言葉を残し、バットを持ってバッターボックスに向かう虎鉄。



『3番ファースト虎鉄君。
またしても恐ろしい十二支のクリーンナップに回ってきました』


再び対峙した虎鉄と雛壇。
否、これが本当の意味では最初の対峙かもしれない。

両者が真剣にその場に立ち、勝負を向えるのは……。


「テメーも意外とエンターテイナーの才能あるんじゃねぇKa。
もう1つ隠し球持っていたとはYo」

「虎鉄、今度泣くのはオメーの方だべ」


喰らえオラのトリプルスライダー!!

振り上げた。


「URAAAAAAH」


VS。狙いはKスライダーだが、横のRスライダーだった。

SHIT!

空振り。


「す、ストラ〜イク!!」





応援席側へと視線を移そう。


魁と由太郎、子津は黙って虎鉄と雛壇の試合を見ていた。

「ふむ…明嬢は新たな球種を織り交ぜてきた様だな」

「へ〜〜やっぱパカパカ打つだけじゃ終わんねっか。
今これ以上点が離れたら勝負決まっちゃうもんな」


ヒートアップする会場内の中でも冷静に判断する魁と由太郎。


「あの…さんの義兄妹ってことは、
村中選手の息子さんってのは…本当なんすか?」


「あっ何だよう。疑ってんだろ!」

「いや…あの…」


しどろもどろに子津は言葉を濁した。


テレビで見た村中選手と全然顔似てないんすもん。

子津の思うことは2人を見た時に誰しも思うこと。


「アンタさ…十二支の奴なら頼みがんだよな〜
聞いてくれんならわかると思うよ」


「頼み…っすか!?」


僕に?と自分を指差す子津。


「おう!!を驚かせたいんだ!!」


子供が悪戯を思いついたような無邪気な笑顔。


本当にさんのお義さんなんすかね……。

疑問に思うが言わないのが子津の懸命な性格なのだろう。





試合の方はファール、ファール、またファールの連続。


『何という粘りでしょう!両選手一歩も退きません!!』

「たりめーDa。早く次来いYo」


虎鉄、雛壇共に汗が滴るほどまでに疲れが見え始める。



虎鉄 お前は活発で何でもソツなくこなし女の子に囲まれ、
野球も出来てオラは何しても敵わなかっただ。

オラはそれが悔しくてその一心でここまで来た。

黒蝶は素直な憧れだっただ。でも………。



振り上げて、投げた。

その瞬間を虎鉄は見逃さなかった。

球種は、Qスライダー。

曲がった所にバットの軌道が合わさる。




虎鉄……オラ 本当は……


ずっとお前みてえになりてえと思ってただ。



ギイィィィィイン



豪快な金属音と共に球は空中へと飛び立った。



「いった〜〜完璧に捕らえた!!」

「こりゃデケーぞ!!」「入れ〜〜〜!!!」


十二支軍勢は火がついたように盛り上がる。


あばよ……雛壇


球を見送りながら、虎鉄は言葉にはしないエールを送った。



『フェンスに直撃だ〜〜!!3ベースヒット!!
とうとう雛壇君のQスライダーも破られた〜〜!!』


それから、虎鉄から猿野へ、それからどんどん十二支打線に
トリプルスライダーの穴が広まり、打ちに打ちまくり、犬飼も
明嬢打線を一切触れさせなかった。


『ゲームセット!!互いに礼!!』

「「「「有難うございました」」」」」




5回コールドで13−0。十二支高校の勝利。















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