#16 嵐の前
『1回裏 十二支高校の攻撃です。1番セカンド兎丸君』
全員が配置に着き、兎丸もバッターボックスに立って雛壇と向き合った。
「さあ、こちらも雛壇三振SHOWいかせてもらうよ」
雛壇がマウンドに立ったことでファンの声援が又蘇ってきた。
「雛君待ってたわ〜v」
「全員三振で片付けちゃってぇ〜」
「黒蝶に一泡吹かせてやってよ〜!!」
「あんなブスはお呼びじゃないって分からせて〜!!」
「いいな〜会場の女の子の応援1人占めでさ。
これで打ったら僕等まるで悪者じゃん」
といっても、ちゃん馬鹿にするような
女の子の声援なんかいらないけどね。
兎丸は明嬢ファンの子達を冷ややかに見た。その時。
「うっさいわよあんた達!!」
女の子の声でその罵倒を止める声が耳に入ってきた。
「貶して良いのは私達だけなんだから!!」
「昨日の今日で知った人間にその権利奪われる
筋合いないのよ!!」
「あんた達だってあの子をブスなんて言える顔してないじゃない!!」
そう言って対抗し出したのは犬飼ファンの少女達。
は何を言われてるのか判断できず、目を丸くする。
「私を貶すのに、権利がいるんだ……」
「、とりあえず問題はそこじゃない」
的外れな呟きに犬飼がツッコミをいれる。
「(あの人達、本当はさんの事嫌いじゃないんだね)」
司馬はの隣に立ち、また口パクで言葉を紡ぐ。
「そうなのかな……だったら、嬉しいな」
私だって、好きな人の為に一生懸命なあの人達が
本当に嫌いな訳じゃないんだから……。
慣れていても耳が痛くなるはずの罵倒も少しの優しさに触れると自然と
癒されてしまうのだから不思議なものだ。
思わぬ声援の声に気を取られたが、気を取り直して
グラウンドへと目線を戻した。
「ご心配なく。1球もかすらないよ LOVI’N YOU!!」
雛壇が投げた。球種は、Kスライダー。
「うひゃ〜あのスピードで落ちるのか?こりゃ初見で以外
打てなくても無理ねーわな」
監督は雛壇の球を初めて見て、アイドルの考えを改めた。
「自分の投げる球種打てなかったら恥ずかしいじゃないですか」
当たり前だとが言う。
持っているノートにはスコア以外の走書きが増えていく。
それぞれの選手が何処が苦手なのかの再チェックだ。
「ストライ〜ク!バッターアウト!!」
兎丸アウト。
「ストライ〜ク!バッターアウト〜〜!!」
猪里アウト。
『明嬢も凄いぞ!負けじと二者連続三振で切って取った〜〜!!
これは両投手投げ合いの投手戦となるか!?』
待ってましたとここぞと明嬢を押し上げる。
「見た見た〜?やっぱり雛様は素敵に無敵なのよ!」
「さっさと十二支負けちゃいなさいよ〜!誰もあんた等の
プレイなんか見に来てないんだから!!」
ファンの大軍勢はチャンスとばかりに十二支をなじり始める。
その表情が歪んで見えるのはやはり、そうやって人を踏みにじる
人間の心を映しとっているのだろうか。
「ひどいな〜あんなんじゃ打つ気失せちゃいそうだよ」
「ばり怖…」
先ほどまでバッターボックスにいた兎丸と猪里は
その様子に引いてしまう。
「言わせとけ言わせとけ。アイドルは歌ってりゃ
いいって事判らしたる。アイドル狩りじゃ〜」
「そろそろ夢から目覚めの時間だZe」
猿野と虎鉄の2人がバットを持って現れた。
「よっしゃ、暴れてきなさい!!」
が気合いをいれる。
「「オウ!!」」
会場とテレビの前の皆さん。
十二支の爆発劇をお楽しみあれ。
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