#14 勘違い




『1番ファースト御所車君』


バッターボックスに立ったのは御所車。

髪型からして猪里と被ると思ったのは十二支全員だ。



「カメラ多いけど緊張しなくていいよ〜
あれはどうせ僕等を映してるだけだから」


にこりと少年のような可愛い笑顔を犬飼に送る。

それをみたファンは黄色い声援を一層響かせた。


うるせぇ……くだらねぇ……

元々甲高い女の声が好ましく無いと思っている犬飼の苛々も最高潮だ。


さあ犬飼君その豪腕を持って周りの雑音をかき消すのです。



付き合いの長い辰羅川もそんなのはすぐに理解し、犬飼の球を受ける
準備を終え、サインを送る。


犬飼が振りかぶった。

ドゴオォォ


御所車は、その球の速さに目を見開く。


「ストライ〜〜ク!!!」

ズドオォォ


「ストライ〜クバッターアウト!!」



「え……?」「何だあの投手は!?」
「十二支は無名校じゃなかったのか?」
「な、何だこれは…予定外だぞ!?」
「黒蝶の自信の要因はこれか!?」


報道陣には焦りと驚き、そして新しい特ダネの発見におののく者達ばかり。

スタンドのファンは唖然として口がしまり無く開いてしまっている。


「ほ〜ら、言った通りじゃない。犬君の肩も完全復活したし、
あのレベルならこのまま捻じ伏せられるね」



はノートにシャーペンを走らせる。


ドゴオォォ


「ストライクバッターアウトチェーンジ!!」


1回裏 三者三振。とノートに記す。



『さ、三者三振!!なんという球威だ!打者がまったく反応できません!!
十二支高校の怪物左腕犬飼冥投手です!!!』


予想外の事態だとアナウンスにも力がこもる。


「テメーらチャラチャラしすぎだ。ここは野球やる場所だろ。
の言ってた事聞いてなかったのか」





犬飼は捨て台詞を行ってからマウンドを降り、ベンチへと戻った。





「犬君ナイス!ようやくミーハーファンが
静かになったよ。ほら、これ着といて」


そう言って渡したのはウィンドブレーカー。
肩を冷やしたくないと分かっていたのだろう。


「ああ…サンキュー。本当にのマッサージ,スゲーな。
いつもより治るのが早かった」


渡されたウィンドブレーカーを着こんで肩を動かして見せる。



「そうじゃなきゃ私がいる意味がないよ。
さて、このまま犬君が押さえてくれれば表は平気ね。
全員集合!辰君、RとKスライダーの説明いくよ」


「分かってますよさん。前の偵察で分かった2つのスライダー
は横に滑る『Rスライダー』と縦に滑る『Kスライダー』でした。

横滑りのスライダーもかなりのものですが、縦の方は最近になって
使われ始めた通称『Vスライダー』VとはVERTIAK(垂直の)のVです」


辰羅川の説明をが引き継いだ。


「Vはスライダーの握りに変化を加えてカーブの様に急速を落とす事無く
下に鋭く切り込んでくるようにして攻略を難しくする。

実は私もこれ投げるんだけど…あの軌道ならもう貴方達は
もう攻略方法知ってるはずだからこちらから言うことはないです」


あれは武軍の時にもう体験済みだからね。

紫SHIKIBUの皆さん。驚くのは、まだ早いよ?














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