#13 黒蝶を求める者
「やはり、最高に輝くね黒蝶は」
予想もしていなかったであろう演説をこれ以上ないと
思えるほど完璧にやり遂げ、その様子を見ていたと
忍はの変わらない存在とそれに押されてしまった
明嬢野球部に同情を隠し得ない。
「当たり前さ。だからこそ私達のなんだから」
忍もと同じように下のグラウンドを見つめ、
中世的な顔立ちをしている綺麗な顔をクツリと笑わせる。
「報道陣も爪が甘いね〜。がいる学校だよ?
そう簡単に負けるかっつーの」
ペットボトルのふたを回し、中のドリンクを飲む。
「がいれば弱くてもスパルタじみた方法で強くさせられるだろうね」
2人はを本当に良く知っていた。
「今更だけど、忍は自分の学校を応援しなくていいの?」
「あんなに応援者がいるなら必要ないだろう」
うんざりと新興宗教を崇拝するような雰囲気の少女達を見る。
その視線に気付いた何人かは、美人が憂いた目で自分を見つめてる
ようにしか見えないので顔を赤くしてそちらを眺める。
というよりかこの二人、顔の造作が中世的なので
見る人によってはカッコイイ男二人組にも見えなくないのだ。
「確かに私はあいつ等の友人だ。負けて欲しいとは絶対思わない。
野球も一緒にやらせてもらっているしな」
「別に応援しちゃえば?は怒りはしないよ、絶対」
忍はそれでも首を横に振る。
「雛壇達にとってこの試合、負けたほうがいいかもしれない。
雛壇を初め、皆当初よりは格段に強くなった。
それでも、あいつ等じゃ勝てないだろうよ、黒蝶が側にいる高校には…。
それに、私がのビデオを見せたのも悪かったかもな。
あれで可笑しな認識が付いてしまった」
「でもさ、黒蝶がもう一回マスコミにこんなに大きく流れたのって
それのおかげでっかいよねー」
「まあな、少しでもに戻ってもらう手段を増やすには良かったよ」
に、グラウンドに戻ってきて欲しかったから。
が消えた私のソフトボールは格段に退屈なものになった。
私はとまた一緒に試合がしたい。
それはJSメンバー全員の希望なのだ。
「私も、大体の記憶は戻ってる。と一緒に戦いたい
気持ちも沢山ある。今は十二支でもいいけど、絶対と
またバッテリー組みたい」
も同意を示す。
「を、ただの影で支えるマネージャーで
高校生活を終らせるつもりはないよ」
ゼノン=レオハルトは、やり方は賛同できないが、
気持ちは良く分かる。
は、日の当たる場所で輝いて欲しい。
十二支だけが、を独占するなんて嫌なんだ。
「アンタ見てると、どっかのスマイル魔人を思いだすわ」
は呆れたように忍と同じ学校の人物の共通点を見つけ、
ため息を吐く。
「一体誰を言っているか見当もつかない。ほら、マウンドに
十二支のピッチャーが立った。試合開始だ」
今日の放送で、一段と黒蝶の存在は世間に広まる
事になるだろう。
彼女達はが大好きだから、が一番輝く
グラウンドの上にいて欲しいのだ。
それが、今一番望む事。
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