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ドリーム小説
#09 黒蝶の正体
前哨戦終了後、帰ろうと思うと。
「ゲッチュ?。この勝負僕の勝ちさ。
あんなナンパ男グッバイして紫SHIKIBUのファンクラブに入らないかい?
君さぁあの虎鉄んとこの女と知ってますます興味がわいたよ。どう?
今ならこの超アイドルグループの栄えある第1号会員になれるんだよ?」
また凪が雛壇に捕まっていた。
雛壇は凪の手を取り、会員証を持ち出す。
「はいそこまで。凪帰るよ」
いつの間にかに距離を縮めて2人の間に立っている。
はそのまま雛壇の手を受け流して凪から離れさせる。
そして、さっさと去ろうとすると、今度はの手が掴まれた。
「すみませんが、手を離してもらえますか?」
ムスッとしているの状態にまったく気がつかない雛壇はターゲットを凪から
へと変えてしまう。
「やだな〜ヤキモチを焼くのも分かるけど、勝手にその子を連れて
行かないでもらえないかい?それとも君も会員に入るかい?」
どこから出したのか2枚目のカードが出てきた。
は手を振り解き、冷ややかにそれを見る。
「凪、お猿君達の所に行って。お猿君、辰君、凪から目離さないでね」
「おう!」「わかりました」
色よい返事をする猿野と辰羅川。凪を2人に任せ、雛壇と対峙する。
そのカードを受け取るとファン達の方へと向き直り。
「はーい。今からこのNO1と2の会員証のオークションを開きます。
皆さん頑張って競って下さい。まずは10円から〜」
即売競売が始まった。しかもかなり安い値段から。
「100円!!」「1000円!!」「1500円!!」「2000円!!」
それに釣られて値段を我先にと差し迫るミーハー親衛隊達。
「はい2000円でました。もう一声いってみよ〜」
「ちょ、ちょっと!!君、何て事してるんだい!!
それは超プレミヤものだよ?!」
思わぬ酷い扱いをされて慌てる雛壇を見ては
まだ手に持っているカード2枚で口元を隠して不敵に笑う。
「こんなもの私達はいらないもの。私達が欲しいのは甲子園への切符。
嫌がってる女の手を無理やり掴むようなナンパアイドルには構ってられない。
そういうのはあなたの可愛いファンにしてあげることね」
そこまで言われると思わなかった雛壇は硬直してしまった。
ファンの子達も可愛いと言われた先程の発言は怒っていいのか
喜んでいいのか分からなくて呆然としている。
「あはははぁぁ!!!」「く…、そこまで言うのは…」
腹を抱えて笑うとこみ上げる笑いを必死に耐えている忍。
はそれが癇に障ったようでむっとした表情で
軽く2人を睨んだ。
「に忍、そこまで笑うことないじゃない。
大体、私はここで前哨戦するのは反対だったんだもの。
少しくらい八つ当たりだってしたいのよ」
どうせ明日の盛り立て役として、マスコミはこれをしたんだろうからね。
はごく少数ながらもマスコミ関係の知り合いを持っている。
その為、一般の同年代よりはマスコミ関係者達の話題の争奪戦の
凄まじさを知らなくはないのだ。
「おいおい、誰なんだあの娘。雛壇君にあそこまでいうなんて…」
1部始終を撮ってる報道陣にざわめきが生じる。
このまま終われば予定通りに明日の試合の勝利宣言を出来たのに
1人の少女によってその予定は崩れつつある。
「いや、俺、あの子どっかで見たような…あ!!」
報道陣の1人が手をポンと叩いて思い出したと声を上げた。
「どうした?」
相方のカメラマンが何が合点がいったのかと話を促した。
「思い出した!!確かあの子、ソフト界の伝説・黒蝶のだよ!!」
「何?!あのゼノン=レオハルトの探してた黒蝶だと?!」
「あの腰まであった長い髪はないが、間違いない!!」
「こりゃ思わぬスクープだ!!」
「紫SHIKIBUのメジャーデビューの花には勿体無い程だぞ!!」
バレた………。
は報道陣のざわめきの原因が自分だと気がついて
一滴の冷や汗を頬に伝わせた。
「黒蝶だって?君が?!」
『黒蝶』の単語に思いの他驚く雛壇。
「チガウ チガウョ」
「、何故カタコトになる。本当の事だろ」
「忍バラさないでよ!!」
ごまかそうとしたのだがその目論見は友人によって打ち崩された。
それがなくても嘘をつくのが下手だったのですぐにバレたであろう。
「黒蝶……まさか本物に会えるなんてなんてラッキーなんだ。
あの鋭いスライダー”魯捺羅(ルドラ)”を投げる張本人黒蝶!!
僕は同じスライダー投げとして挑戦を申し込むよ!!」
ズビシッ
といつの間にかに石化から復活した雛壇に指を指され、
どこから出したか見当もつかないマイクの音声拡張付きで宣言される。
「おっと、面白い展開になって来たぞ!!」
カメラを握る手に汗がにじみ出る。緊迫した空気と好奇心に満ちた観客。
「雛壇くんがソフト界の伝説に勝負を仕掛けました!!
さて、黒蝶の方は?」
アナウンサーのお姉さんがの口元へとマイクを近づけた。
「嫌」
一言。それだけで雛壇の挑戦を拒否。
「おおっと!!雛壇君の勝負を拒否しました!!その真意とは!?」
アナウンサーのお姉さんが握りこぶしをつくって大盛り上がりのドーム内。
「なによあの女!!」「雛様の折角の好意をむげにするなんて!!」
周りから野次がとぶ。それでも意見を変える気はないらしい。
「な、何故なんだい?!」
まさかこんなに簡単に拒否されるとは思いもよらずに
雛壇は理由を聞きにかかった。
「こんな生中継されてる舞台で誰が持ち球見せるもんですか。
私になんの利益もないですよ。そんなの受ける必要ないです」
帰ろうと後ろを向いて去ろうとする。
「待ってくれ!1打席で良い!!僕にその技を見せてくれ!!
あの見惚れるほど完成された投球を!!」
雛壇は人目を気にすることなく、真剣にを呼び止める。
「……ったく、しょうがない」
は深くため息を吐いた。
「いいんか?」
まさかがこんな勝負を受けるとは思えなかったので
聞き返してしまう。
「いいわけないじゃない。ここではあれは見せないよ。
でも、ここまで言われて断ったら罪悪感残りそう。挑戦は受けるよ。
ここで、十二支の復活の破片でも見せておこう」
ずっと馬鹿にされるのは勘弁だしね。
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