#25 病院






少し、時は遡る。牛尾が救急車に乗せられて、病院に着くと
先に来ていた3年マネージャー2人が待合室にいた。


「柿枝先輩、夜摩狐先輩!!」


は先輩2人の姿を見るとすぐに駆け寄った。


?!」「さん?!どうしてここに?」


柿枝・夜摩弧はを見て椅子から急に立ち上がった。


「それが…」





今までの経緯と牛尾先輩について、説明する。

2人は驚きを隠せないし、怒りを感じざる得ない。





「なんで、蛇神君に続いて、牛尾君まで?許せませんわ武軍!!」


「撫子気持ちは分かるけど、ここ病院だから落ち着いて!」


柿枝は夜摩狐の服のすそを掴んで座らせる。


「大丈夫です。仇は皆が取ってくれますよ。必ずね」


は、力強く、ハッキリと言い切った。



その様子に、2人は納得して頷いた。


「ああ。そうだな」



そこまで、話が進むと。




ガチャ。


っと診察室のドアが開く。


3人は同時にそちらに振り返る。



「先生!!2人の容態は?!」

は医者の側に駆け寄り、状況の説明をせかす。

担当の先生はにこりと笑って安心させてくれた。


「ああ。命にも別状はないし、後遺症もないだろう。

野球も出来るから安心していいよ」


3人はその言葉に手を取り合って喜ぶ。



「良かったですね!!」

「おう!!これで甲子園はまた目指せるぞ!!」

「本当に良かった!!」


本当に・・・良かったよ・・・。


は再びあふれそうになる涙を目頭でこらえる。


「応急処置が的確で、そのお陰もあったよ。

マネージャーの子だと聞いているけど…」


「ええ。この子ですわ」


夜摩狐がの背中を押して前へと進ませる。


「ほぉ、君が。まだ若いのにたいしたものだ。誰からか教わったのかい?」


「あっはい。一応、師に教わりました」


しかも実践向けのもの中心に。

その中には護身術としての技も含まれていたが……。


「へ〜。この年であそこまで的確に出来るとは…」


「先生、蛇神君が目を覚ましました」

看護士の服を見にまとった女性が先生に報告をしてカルテを渡した。


「おお、そうか。3人とも会うかい?」


「「「はい!!」」」



3人はすぐさま返事を返して看護士さんに部屋に案内を頼んだ。


看護士さんの後について行くと、2人部屋に案内された。









「ここよ。蛇神君、入るわね」


看護婦さんはドアを開ける。

そこには蛇神がベットに横たわっているという珍しい光景が目に入った。


しかし、今はそんなことどうでもいい。





「「「「蛇神(先輩・君)!!」」」


「お主等、心配をかけたな」


蛇神は起き上がりはしないが顔をこちらに向けて笑った。


顔色も問題ない。起き上がるのはまだ止めておいた
方がいいだろうが…鍛えてる分だけ治りも早いだろう。


「いえ、無事で本当に良かったです」


は一安心だと少しだけ貼り続けていた緊張をほぐした。


殿のお陰だそうだな。感謝するぞ」

「だったら、早く良くなって下さいね。戦いはこれからなんですから!!」


本当は今も二人を欠いて戦う仲間達が大丈夫か心配でたまらないのだ。

次に上がるにしても彼ら無しは不安だし、全員で戦って欲しい。


の言う通りだ」


さん。さんにはもう1回球場に行ってもらったらどうでしょう?」



「え?」

夜摩弧から提案された案には目を丸くした。


「ああそうだな。ここの場所も教えなくちゃだし、2人の報告も早いほうがいい」


「我も賛成だ。殿、行ってくれるか?」


柿枝先輩に蛇神先輩もそれに賛成してくれる。容態を聞いた今なら

ここに私がいなくても先輩二人がいてくれるし、

球場の方が心配だ。


「…私が断ると、思いますか?」


「いーや、思わないな」


柿枝はにんまり笑う。

良く分かっていらっしゃる。


「じゃあもう1回行ってきます!!」


「ああ。牛尾は任せとけ!!」


「はい!!」


そう言って病室、はたまた病院を勢い良く駆け出していく

そこでは先程までが押し隠していた疲労感が払拭されていた。









出て行った後の病室。柿枝は言いにくそうに

蛇神にへと言葉を漏らした。





「蛇神君、本当に行かせて良かったの?牛尾だけじゃなくあんたも…の事……」


「我以外にも殿を大切に思う人間がアチラにも多くいる。このような時だからこそ
殿の力が必要になるであろう」


我は……それで良い也。


殿は、そちらの方がきっと喜ぶ。


蛇神は元々細い目をさらに軽く細めている。


さんは罪作りな子ですね」

いつもの私であれば、嫉妬をしたであろう。

しかし、さんの人柄を知ると、途端に憎めなくなる。


さんが、殿方を選んだとき、そっちの方が嫉妬してしまいそうですわ」


彼女は、1人のものにするには、大きすぎるから。











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